第7章 聖戦
第155話 再召喚
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認する。
ここは――
瞬かない光に溢れた空間。左側からは、この世界的には非常に高価な硝子越しにやや弱いながらも天然の陽光が差し込み、高い天井からつりさげられたシャンデリアには蝋燭でもなく、ましてや魔法により灯された明かりでもない……科学の力により灯された人工の明かりが光り輝く。
左右に一定間隔で並ぶ細かな彫刻の施された大理石の柱。その前に置かれた金の燭台。見事な銀製品の数々が、今のこの国の勢いを如実に物語っているのかも知れない。
……まぁ、このハルケギニア世界でスペイン継承戦争に類する戦争は起こらない可能性の方が高いので、今、この回廊に飾られている豪華な金銀の製品は最低でもフランス革命の時代までは、この場所を彩り続ける事と成るのでしょう。
少なくとも俺がこの国に居る間に売り払われる事はない……はず。
そう、ここは長大な回廊。長さは八十メートル。幅十五、高さは十二メートルに及ぶ、普段は廊下として使用される場所。しかし、何か重要なイベント……。例えば、ガリアの国王が内外にその威光を示したい時などにここは豪奢な儀式の場と化す。
俺の感覚から言わせて貰うのなら古臭い様式。天井画、装飾品、大理石の柱に施された彫刻ひとつにしても、そう。妙に装飾過剰で仰行な雰囲気なのだが、地球世界の歴史から見ると中世末から近世初めに当たるここハルケギニア世界の常識から言うと、この様式は時代の最先端。
まぁ、バロックと呼ばれる事となるこの様式の宮殿を今、建設出来るのは……富を有しているのはガリア以外には存在していない。そう考えさせるには十分な偉容を見る者与える事でしょう。
正面には設えられた祭壇。ただ、それは西洋的な召喚作業に用いられる祭壇と言うよりも、東洋的な注連縄と榊により作り出された聖域の中に存在する祭壇と言うべき代物。確かに護摩壇は準備されていないが、そもそも、俺を呼び寄せるのにそんな物は重要ではない上に、流石に其処まで怪しげな……ハルケギニアで今まで行われて来た召喚作業に比べるとあまりにも異質過ぎる召喚術を行うと、その作業により発生する神秘性よりも、邪教的な雰囲気の方がより大きくなるので火を使用する事は忌避したのでしょう。
そして、祭壇の向こう側に当然のように存在する白衣に緋袴の少女が一人。地球世界の弓月さんと比べると多少は見劣りがするのだが、それでも清楚な彼女に巫女姿はよく似合っていると思う。
その後ろ側……俺を中心に置いた四角く切り取られた空間。注連縄と榊により仕切られた聖域の向こう側には回廊の奥に設えられた玉座に蒼髪の親父。その傍らに立つ俺の姉設定のオデコの広いガリアの王女の姿。ふたり共に口元のみに浮かべる類の……どう見ても、人が悪いと表現される笑みを浮かべている。
ジ
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