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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第155話 再召喚
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気の量を増やし、自らの周囲に存在する精霊を少し活性化させた。

「もし、総大司教の言うように始祖を殺めたのが彼の妻である女性なら、その女性の胎から生まれ落ちた我々すべてには、生まれながらにして罪。原罪を背負っている。……そう言う事になるでしょう」

 外から差し込んで来るかなり弱い冬の陽。更に豪華なシャンデリアに灯された人工の光に紛れ、俺自身が淡く光って見えるように。
 まるで後光が差しているかのように。

 この場に集まったすべての人間が俺から瞳を逸らせないようにする為に。
 そして――
 そして、一瞬の溜めの後、

「確かに王とは神以外には膝を屈しない存在。将来、父の後を継ぎガリアの王と成る事を第一と考えるのなら、他者の使い魔となる事に僅かばかりの不都合が生じるかも知れない」

 他国の者に侮られるかも知れない。外交交渉上に何らかの問題が発生するかも知れない。
 一気に其処まで口にしてから、僅かな隙間を空ける俺。当然、これはこの場に居る全員に旧来のブリミル教が支配する世界では、タバサの使い魔となる行為はどう考えても不利な点となるしかない……と言う事を考えさせる為の間。

 しかし――

「但し、私は将来のガリアの王である前に、現在進行形でガリアの騎士です」

 ガリアで騎士に任じられると言う事は、真理に従い、あらゆる弱き者の為に働く守護者となる事を誓ったと言う事。

 ハルケギニアに於ける騎士に叙任される儀式に則った、しかし、少し曖昧な言葉を口にする俺。第一、俺は神……このハルケギニアで神と言えば、それはブリミル神の事なのだが、そんな何処から湧いて来たのか現在ではまったく不明となって終った存在などに騎士となる事を誓った覚えはない。
 俺が誓ったのは俺自身。更にもう一人挙げるとするのなら、それはタバサ。自分自身と、そしてタバサに対して誓えば、それで十分だったから。

 そもそも、その西洋的騎士道など現実には存在していない。すべては幻想だ。……と、俺は考えているのだから。
 王権の剣を引き抜く事から始まる騎士の物語の最後がどうなったのか。騎士の中の騎士。誉れも高き湖の騎士が何をして、最後にどうなったのかを知っているのなら、その辺りに関しては大体、想像が付くと言う物。

 但し、内心は内心。ここは生き馬の目を抜く貴族社会。こんなトコロでは本心をさらけ出す必要はない。

「生まれながらにして原罪に塗れた我々を尚、神はその慈悲深い御心で加護を与え続けて下さる」

 自分自身ではまったく信用していない内容の言葉をすらすらと紡ぎ続ける俺。こりゃ、三文芝居の役者ぐらいなら簡単に勤められそうだな、などと、やや自嘲的に考えながら。

 そう。そもそも論として、そのブリミル神と言う神が現実に居るのかどうか分か
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