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第五十一話
第五十一話 署長と先生
署長はそれからすぐにある豪邸へと向かった。そこはその町にいる人間なら誰もが知っているようなそんな豪邸であった。彼女は今そこにやって来ていた。
その中の応接間にいる。そして話をしているのは。
「お久し振りですね」
今田先生であった。魔女の塾の先生であった。
「お元気そうで何よりです」
「ええ、こちらこそ」
署長もそれににこりと笑って応える。
「元気そうでよかったわ」
「はい、私はいつも元気ですよ」
先生は笑顔でそれに答える。
「それで今日は一体」
「実はね」
署長は少しあらたまってきた。そのうえで博士のことを話した。
「その博士ってとんでもない人なんですね」
「そうなのよ」
困った顔で溜息を吐き出す。
「どうしようかと思っているのよ、それで」
「そうなんですか」
「それでね」
そのうえで先生に声をかけてきた。
「貴女ならどうにかできると思うんだけれど。お願いできるかしら」
「私にですか」
「ええ」
その言葉にこくりと頷く。
「いいかしら。報酬は約束するから」
「それはいいです」
先生はそれは受け取らないようである。笑って述べてきた。
「お金は困っていませんから」
「そうなの」
「はい。それでですね」
その上で話を続ける。何時の間にか彼女のペースになっていた。
「その博士のことですけれど」
「ええ」
「私の生徒達にお願いしたいと思います」
「えっ!?」
署長は先生のその言葉を聞いて目が点になってしまった。確認の為にもう一度問う。
「あの、今何て」
「ですから私の生徒達にその博士を何とかしてもらいます」
「あのね」
署長は呆然として口を開けたままでも話をしてきた。
「そんなまともな相手じゃないわよ」
「はい」
わかっているようなわかっていないような返事であった。
「勿論承知しております」
「じゃあ余計に」
「大丈夫です」
有無を言わせぬ満面の笑みであった。
「ですから」
「そうなの」
こうしてなし崩し的に決まった。話は本当に正義の味方の話になるのであった。
第五十一話 完
2007・1・10
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