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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三話 キフォイザー星域の会戦(その1)
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決戦ですな”と言って体をブルッと震わせた。武者震いと言うのはこれか、そんな事を考えていると戻ってきたノルデン少将と二人で興奮気味に話し始めた。根拠の無い勝利の確信、聞いているのが辛い。

「すまんが私も少し休ませて貰う。卿らも適当に休んでくれ」
「はっ」
「ザッカート、後で部屋にきてくれ、三十分ほど後でいい」
「はっ」

私室に戻り、ソファーに座って敵とどう戦うか考えた。味方は寄せ集めだ、おまけに指揮能力は必ずしも高くない、いや低いだろう。クライスト、ヴァルテンベルク大将は軍人とはいえ指揮下の分艦隊は貴族が率いているのだ。指示通りに動けるかどうか……。

ガイエスブルク要塞に篭ったのもそれが有るからだ。敵が押し寄せてくる間に艦隊行動を習熟させるつもりだった。連日のように訓練させたが何処まで使える様になったか、正直なところ不安がある。

ザッカートが来た。無愛想な男だ、“何か用ですか”とも言わない。だが今はそれが心地よかった。無言で正面のソファーを示すとザッカートも無言で座った。

「戦闘の中で細かい艦隊運動は出来まい。一つ間違うと混乱して敵に付けこまれかねん」
「そうですな」
「となると、正面からの力押しの一手になる」
ザッカートが無言で頷いた。

「……中央に我等をその両側をクライスト、ヴァルテンベルクを持ってくる。ヘルダー子爵、ホージンガー男爵はその外側において、ヒルデスハイム伯を予備にしようと思う」
ザッカートは今度は眉を上げただけだった。

「私とクライスト、ヴァルテンベルクの中央が敵を突破すれば我等の勝ち、突破する前に両翼を崩されればこちらの負けだ。その場合は、最後尾で味方の撤退を援護する事になる」
多分そうなるだろう、ザッカートも同じ思いなのかも知れない。大きく頷いた。

「クライストとヴァルテンベルクがどれだけ頼りになるかは分からん。なんと言っても味方殺しだからな。しかし、仮にもイゼルローン要塞で最前線を任されたのだ、ヘルダー子爵やホージンガー男爵、ヒルデスハイム伯よりはましだろう」

私の言葉にザッカートは頷いていたが、ふと笑顔を見せた。
「そうですな、それに予備などにしては後ろから撃たれかねませんからな」
思わずその言葉に笑いが起きた。笑い事ではないのだが笑うしかない、

「酷い事を言う奴だな、他に何か注意すべき点は有るか?」
「いえ、私からは何も有りません」
「そうか……」
「ご安心ください、閣下を失望させるような戦いはしません。御約束します」
「うむ。頼むぞ」

ザッカートは、ソファーから立ち上がると一礼して部屋を出て行った。彼には全てを話してある。最後尾で味方を逃がすためにはこの男の指揮が必要だ。“すまぬが、私と共に死んでくれ”その言葉にザッカートは何も言わずに笑
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