第三十一話 街を歩きつつその五
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「だから注意してね」
「わかったわ」
優花は姉のその忠告にも頷いた。
「とにかく注意することは多いのね」
「女の子の場合はね」
「何かと」
「そういうことでね」
「女の子は本当に大変ね」
「そうなのよ」
「それにあれはね」
ここでだ、優子は。
自分の腹部を見てその上に手を当ててだ、こうしたことも言ったのだった。
「痛かったわね」
「生理ね」
「辛かったわ」
「女の子にだけあるものよ」
「お話は聞いてたけれど」
「辛いでしょ」
「実際にこんなに苦しいなんて」
経験してからの言葉だ。
「覚悟していた以上よ」
「そうでしょ、けれどね」
「それでもなのね」
「女の子には付きものだから」
生理痛、それはというのだ。
「受け入れるしかないのよ」
「その時の苦しみも」
「そうよ。上手に付き合っていってね」
「それ療養所でも言われたわ」
そこでもというのだ、優花は生理とその痛みや苦しみについても姉と話した。それは彼女にとって最初は全くわからないことだった。
しかしだ、それを経験してみてだったのだ。
「辛かったわ」
「そしてね」
「ええ、結婚して」
「赤ちゃんも産んでね」
「そうするわ」
生理とだ、明らかに関係していることだった。
そしてだ、そうした話の後でだった。
この日も二人で優花の部屋に戻った、アパートの中に。
そこでだ、優子は優花が作ってくれた皿うどんを焼酎と共に飲みながらだった。共に飲んで食べている優花に話した。
「明日帰るから」
「ええ、またね」
「また来るから」
こう笑顔で言うのだった。
「楽しみにしておいてね」
「それじゃあね」
「またの機会を。それと」
「それと?」
「この皿うどんもね」
揚げた細いフライ麺の上にとろみのある八宝菜の様な中華風に野菜と豚肉、うずらの卵を炒めたものをかけている。それで柔らかくした麺を食べる料理だ。
「やっぱり長崎のものは違うわね」
「本場は」
「美味しいわ」
こう言うのだった。
「本当にね」
「そうよね、私もね」
「この皿うどん好きなのね」
「実は殆ど食べたことがなかったの」
皿うどんをというのだ。
「神戸にいる間は」
「優花は普通の麺派よね」
「ちゃんぽんとかね」
長崎の料理で言うと、というのだ。
「そっちよ」
「そうだったわね」
「けれど長崎に来てからね」
「皿うどんも食べる様になったのね」
「そうなの」
実際にというのだ。
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