第三十一話 街を歩きつつその二
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「だからね」
「相手を論破するのじゃなくて」
「周りに話すの」
「そうすればいいのね」
「ええ、ヤクザ屋さんにはヤクザ屋さんに対するやり方があるの」
「そうしたものなのね」
「もっともそんな言い掛かりをつける相手はね」
嘘を嘘とわかって、牽強付会でも何でも使ってそうしてくる輩はというのだ。
「嫌われない筈がないわ」
「そうよね、嘘吐きはね」
「品性も知れたものだし」
「普通に嫌われるわね」
「自分も何時言い掛かりをつけられるかわからないから」
「何かあったら」
「だから嫌われるわ」
絶対にそうなるというのだ。
「ヤクザ屋さんに自分から近付く人はいないでしょ」
「私もね」
優花にしてもとだ、二人で海の方を見つつ姉に答える。
「そんな人は嫌いだし」
「近付かないわね」
「姉さんいつも言ってるわね、ヤクザ屋さんやそうした類の人とは付き合うなって」
「交遊は広いに限るけれど」
それでもとだ、優子も話す。
「そうした人は別よ」
「害にしかならないから」
「付き合ってはいけない人もいるのよ」
世の中には、というのだ。
「ヤクザ屋さんとはね」
「そうしたものなの」
「品性よ」
大事なものはというのだ、人間にとって。
「それが卑しい人とはよ」
「付き合うべきじゃないのね」
「いいことはないから」
「交遊は広く深くても」
「色々な人とお付き合いすべきでも」
「そう、付き合ったら駄目な人もいるの」
品性の卑しい輩こそがそうであるというのだ。
「だからそうした人には注意してね」
「姉さんがずっと言っている通り」
「長崎でもいる筈よ」
絶対にという言葉だった。
「そうした人はね」
「残念ながら?」
「そう、残念ながらね」
「悪い人も何処にでもいるから」
「いい人もね」
「そうしたものなのね」
「ただね」
こうしたこともだ、優子は優花に話した。
「悪い人は集まるわね」
「類は友を呼ぶ」
「そうしたものだから」
この世の摂理の一つだ、花には蝶が寄るものだが汚物には蠅が寄るのだ。悪人も悪人で固まってしまうのだ。
「悪い人の集まりにはね」
「近寄らないことね」
「最初からね」
「長崎でも」
「一人でもね」
心から心配してだ、優子は優花に言った。
「いいわね」
「注意しないといけないってことね」
「人はよく見てね」
優花のその目を見ての言葉だ。
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