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第四十五話
第四十五話 モンスター大改造
「さて、と」
博士は手術室で満面の笑みを浮かべていた。
「機は熟した」
「もうですか」
「うむ」
呆れているというか近寄りたくなさそうな小田切君に答えた。
「それでじゃ」
「で、博士」
「何じゃ?」
「また研究所の外が五月蝿いんですが」
「むっ!?」
耳を澄ませば何かと騒がしい。どうやら自衛隊が来ているらしい。
「どうするんですか。もうすぐ踏み込んで来ますよ」
「狙いはわしじゃな」
他に目的があろう筈がない。研究所はもう自衛隊と警官に包囲されてしまっている。全員完全武装である。
「僕は逃げていいですか」
助手とはとても思えないことを言ってきた。
「僕も」
「おいらも」
タロとライゾウも。
「自衛隊に話して避難させてもらいます」
「実験には付き合わんのか」
「いえ、命が惜しいですから」
もうそれしか考えていない。
「そういうことで」
「何じゃ、それでは」
「実験止めると思う?」
「いや、全然」
その横でライゾウがタロの言葉に答えていた。
「やっぱりね」
「そんな人じゃないよ、この人は」
「仕方ないのう」
そう言いながら懐から鏡を取り出してきた。そして小田切君と二匹に対して言ってきた。
「わしは鏡の世界へ避難する」
「で、そこで研究ですか」
「左様」
博士は胸を反らせてその質問に頷いてきた。
「三日経ったら帰って来る」
「三日ですか」
「それだけあれば充分じゃ。わしは寝ないでもいいからな」
「そういやこの博士って寝ないよね」
「どういった体質なんだろうな」
タロとライゾウはそれを聞いてまた言い合う。
「それでは小田切君、タロ、ライゾウ」
「はい」
「ええ」
「じゃあ」
小田切君と二匹も博士に挨拶をする。
「三日後な。では」
博士は鏡の中に消えた。踏み込んだ警察も自衛隊も鏡の中に入られてはどうすることもできず地団駄を踏むしかない有り様であった。そんな彼等を見て小田切君は呟く。
「三日後から大変になるよ」
壁にかけてある鏡を見る。そこから博士の不気味な高笑いが聞こえてくるようであった。
第四十五話 完
2006・12・19
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