壱章
壱章
我ならなくに〜下〜
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今の私の胸中を詠むなら
_____陸奥のしのぶもぢずり 誰故に 乱れそめにし 我ならなくに________でしょうか?
この唄は恋しい人に寄せた想いを歌っていますが胸中に抱いているこの想いは、所謂【恋】と呼べるのかは分かりません。
今まで自分ですら分からないよう、無意識に胸中の奥へと押し込んでいた『退屈』と『孤独』という感情。
何時しかそれらは知らず知らずのうちにしがらみでは押さえきれない程、雨水で嵩が増した川の流れのようになり遂にしがらみは初めて出会った、見ず知らずの人である貴方との別れ際に崩れてしまいました。
それ以来、貴方様との逢瀬を果たす度に『しのぶもぢずり』の様々な色が混ざり合う様に私の心中は「貴方様に逢えた幸福感」と「何時かこの関係が終わってしまうことに対する恐怖」がぐるぐると廻り続けています。
これが【恋】か【依存】なのか分かる日が何時来るかは分かりませんが今は唯、貴方様との逢瀬に命を賭けようと思います。
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