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IS ーインフィニット・ストラトスー 〜英雄束ねし者〜
2話『大切な人』
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自分の持つ全てを捨てでも失いたくない相手。

「そっちはどうだったの?」

「……担任教師が元姉で直ぐ近くにあいつがいる。一兄と久し振りに会えたのは嬉しいけどな」

「そうなんだ」

 千冬と秋八の事を思い出して表情を歪める四季に複雑な表情を浮べる詩乃。

「詩乃が気にすることじゃないよ。会う事なんてないって思って、今まで考えていなかった事と改めて向き合うことになった……それだけなんだから、さ」

 そう、もう二度と再会する事などない、そう思って考えないようにしていたが、何処かに何れ決着を着ける必要が有ると思う事は度々有った。何れ来る決着を着ける時が今だった……その程度の事だ。

 そう言って彼女を安心させるように詩乃の頭を撫でる。恥ずかしがってそっぽを向いているが、気持ち良さそうにする姿は猫を思わせる。

(本当に詩乃は可愛いな)

「さっ、御飯にしましょ。夕飯、まだでしょ?」

 そんな四季の考えを察してか彼女の方からそう言ってくれる。部屋に入った時から良い匂いがすると思っていたが、詩乃が四季の為に夕飯を作って待っていてくれたのだ。
 どう見ても二人分有る事から一緒に食べようと待っていてくれたのは簡単に理解できる。そんな事を考えていると申し訳ない気持ちになってくる。そんな彼の考えを察したのか詩乃は、

「お嫁さんはね、夕飯と一緒に旦那様を待つものなのよ」

 そう笑顔で言われてしまった。

(やっぱり、詩乃には敵わないな)








 翌朝、詩乃を起さない様に部屋から出ると四季は一心不乱に木刀を振っていた。繰り返すのは二種の別の剣の動き……一つは日本と言うよりも天宮の国の……とある武者に弟子入りし教えられた技で、もう1つは両手剣を持った上での動きを主体とした西洋剣術。

(……決着をつける、か)

 そう考えている四季がイメージしているのは現役時代……ブリュンヒルデの称号を得た頃の織斑千冬の動き。試合内容は決着を着けると決めた時に何度も見ている。イメージする相手に向けて剣を振る。

 時に相手を変えて昔の秋八の動きをイメージして仮想的とする。だが、所詮は子供の頃の剣道の動き……今の四季では簡単にあしらえる相手なので其処から相手の今の動きを予想して仮想敵として完成させる。

(……やっぱり、オレは……)

 大降りの一撃が力任せに振り下ろされ、地面へと突き刺さる。技も何も有った物では無い乱雑な力任せの一撃。ゆっくりと憎悪に染まった表情が四季の心の中を映し出している。乱雑に剣を振るい続ける。先ほどまでの剣とは程遠い力任せに振り回すだけの剣だ。

(……あいつ等の事を……恨んでる)

 改めてそれを確信する。憎しみで剣筋が乱れる。こんな事では勝てる相手にも
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