43部分:第四十二話
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第四十二話
第四十二話 対決
とにかく闘うしかない。モンスターに変身した小田切君は二匹のドラゴンに向かう。彼等はもう赤い炎と強酸を吐いて威嚇してきた。
「あれ受けたらやばいですよね」
「そこで迂闊に心に隙ができればそれで乗っ取られるからな」
「もしかしてそれを期待していません?」
「その通りじゃ」
何の罪悪感もない返事であった。
「よくわかったのう」
「それでそうなったら向こうの世界へ行くんですよね」
「左様、そして気付いた時には」
小田切君の周りは廃墟というわけである。非常にわかりやすい。
「じゃあ無傷で倒さなければいけないんですね」
「何、どっちでもわしにとっては面白いことになる」
「そうやって人命や文明をないがしろにしていると何時かえらいことになりますよ」
「何、革命には破壊が必要じゃ」
何処ぞのテロリストそのままの言葉であった。
「犠牲なぞ偉大なる進歩に比べれば。微々たるものじゃ」
「ええ、もう聞きません」
流石に小田切君も言う気力が失せてきた。
「それじゃあ」
二匹のドラゴンに向かう。だがここで気付いた。
「まてよ」
ふと思うことができたのだ。
「さっきから博士は」
何か口約束でモンスター達と契約していっていた。それを使えばいいのではないかと思いだしたのだ。
「よし」
それをやってみようと思った。ドラゴン達に声をかける。
「おい」
「ガオオオオン!」
「話を聞いてくれ。いいか」
「ガオ?」
ドラゴン達はそれを聞いて攻撃しようとするのを止めた。そして小田切君の話に聞き入る。
「好きなだけ暴れたいか?じゃあ僕の言うことを聞いてくれ」
「ガオ」
「ガオオン」
彼等は静かになってその話を聞いてきた。小田切君はその様子にはっきりとした手応えを感じた。
(よし)
これでいけると思った。さらに言う。
「じゃあ僕と一緒に来てくれ」
ドラゴン達を見据えていた。それから止めの言葉である。
「好きなだけ破壊できるぞ」
それが決め手であった。二匹のドラゴンとも契約がとれたのであった。
「これでよしじゃな」
「それでどうやって契約を果たすんですか?
元の姿に戻った小田切君にとって最大の不安はそれである。
「まさか街に放すとか」
「それではあまりにも芸がないのう」
「芸ですか」
「うむ、芸じゃ」
この博士にとっては単に放すなぞ本当にそんなものである。
「まあ見ておれ。世間をあっと驚かせてやるわ」
「はあ」
こうして博士のよからぬ行動がまたはじまるのであった。何かをやればすぐにそれを新しいトラブルに結び付ける、本当に困った人物である。
第四十二話 完
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