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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 魔女のオペレッタ  2024/08 
最後の物語:嘘の魔法
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あるプレイヤーだったと記憶している。仲間内を手当たり次第に当たって、それでもギルド内の誰にも頼れなかったのだとしたら、その悲痛は筆舌に尽くし難いだろう。フィーは決してラフコフ捕縛作戦の現場に楽観視などしていない。むしろ、そこが地獄になる可能性を誰よりも危惧しているように思える。誰とも知れない彼女の友人が吐露した恐怖を間近で見たからこそ、フィーは危険だと判っているラフコフ捕縛作戦へと赴こうとしているのだろう。友を傍らで励まし、共に剣を振るう、ただそれだけを求めて。


「まったく、オイラも焼きが回ったかもナー」
「………え?」
「おいおい、ボーっとするんじゃないゾ。せっかく情報を教えてやるって言ってるんだから、もっと嬉しそうにしたらどうなんダ?」


 呆けるフィーに苦笑しつつ、アルゴは懐から手帳を取り出してはペンを走らせる。
 記すのは、彼女がどんなに足掻いても手の届かなかった情報。ただし、既に自身の手から離れたこともあり、辛うじて判明している捕縛作戦が決行される日時のみ。それでも、完全にフィーを遮断していた作戦の参加メンバーが出立するタイミングさえ判断が出来るというならば、後ろを尾行するなり無理矢理合流するなり手段はある。アルゴは手帳からページを切り離すや、そのままテーブルの天板を滑らせて切れ端をフィーに渡す。


「あ、ありがとうございます! ………それで、その………お代は、おいくらです?」
「今回はサービスにしとくヨ。情報もお粗末だし、新しいお客さんへの挨拶代わりってことでサ」
「いいんですか!?」
「でも、今度はちゃんと、噂のお友達を連れて来るんだゾ。じゃないと割増請求待ったなしダ」
「え、結局お金取るんですか!? ………うぅ、頑張ってみます………」


 アルゴとしては無事に戻ってくることが何よりの報酬だと遠回しに言ったつもりだったが、照れ隠しに付け足した仮想的な代金請求が意外に効いたらしい。こういう反応も含めて、フィーという少女はからかい甲斐のある性格をしているようだった。


「頑張れよナ。お友達一人につき利用料3%引きだから、覚えておいてクレ」
「それ知ってます! イケない商売のヤツです!?」


 なかなかに面白い。どこぞの真っ黒剣士の方が扱いも馴染んでいるが、これはこれで味がある。
 しかし、フィーをこのまま引き留めておくわけにもいかない。ここで得た情報ねんてものは所詮はスタートラインでしかない。これから捕縛作戦本隊が現在進行形で推し進めるアイテム補充や装備の確認など、やるべきことは山積している。


「冗談だっテ。ホラ、準備もあるダロ? 早く行きナ」
「そうでした!?」

 言われるまで気付かないというフィーの性格に一抹の不安を覚えるアルゴだが、彼女とて血盟騎士団に身を置
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