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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 魔女のオペレッタ  2024/08 
最後の物語:嘘の魔法
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? どうしたんダ?」
「フィーちゃん?」


 観察中、カーソルと併せて表示されたプレイヤーネームのスペリングから推測した相性ではあるが、小首を傾げられたことで、アルゴは慌てて言い繕うべく言葉を選ぶ。もしかしたら赤面しているかも知れない自分の顔のイメージを意識から切り離そうと心掛けながら、アルゴは努めて平静を装って語る。


「不便だし、名前の頭のところだけで呼ばせてもらったけど、間違ってたカ?」
「いえいえ、普段そういう風に誰かに呼ばれた事が無かったもので………じゃあ、フィーちゃんでお願いします」
「判ったヨ。………ちなみに、どんな風に呼ばれてるんダ?」


 商品価値はないだろうが、好奇心が高じて一つ問うことにした。


「《ウスノロ》とか、《ツカイッパ》とか?」
「ゴメン、ホントにゴメン」
「………んぅ?」


 血盟騎士団の触れてはならない実情を垣間見た気がした。
 顎の先に人差し指を当てるという愛らしい仕草に反して凄惨な回答を向けられ、たまらずアルゴは一にも二にも無く頭を下げるが、女性プレイヤー――――愛称で言うところの《フィー》はまたも不思議そうに頭を傾げる。


「あとですね、お友達からはお姉ちゃんって呼ばれてますよ! 年下の子で、もうすっごい可愛いんですよ!」
「お、おぉ………? なんだか少しずつフィーちゃんが解らなくなってきたゾ………」
「女の子は、みすてりあすな感じの方が魅力的なんですって!」
「いや、フィーちゃんのはミステリアスっていうカ、色んな意味でてんこ盛りっていうカ、消化不良というカ………もういいヤ。というか、オイラにはどんなご用なんダ?」


 やや呆れたアルゴは、これ以上の追及を諦めて話を本筋へと押し戻した。


「そうでした! 実は、お聞きしたい事がありまして………」


 ともあれ、アルゴの推測に違わずフィーは情報を求めて足を運んだらしい。当人はすっかり目的を忘れていて言われるまで気付かないという体たらくだが、ともあれ血盟騎士団から寄せられる依頼は難易度の高さと、その依頼の副産物的な情報のバランスからして、ハイリスクハイリターンな収支となることがしばしばある。ラフコフ調査班の片割れが尋問を受けている手前、手持無沙汰にだらけて過ごすよりはずっと面目も立つし気も楽だと、心算を巡らせる。やや世話の焼けそうな雰囲気を漂わせる相手だが、渡りに船というものだ。依頼の内容を聞き取るべく、アルゴは口を噤んで相手の発言を待った。
 

「その、アルゴさんは………《笑う棺桶》のメンバーを捕縛するっていう()()()()についてお詳しいんですよね?」
「ん〜、あまり詳しいわけじゃないんだケド、もしかして聞きたい話って捕縛作戦についてカ?」

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