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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
59.第九地獄・死中活界
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は、幼かった彼に8年間ずっと生存という結果を齎してきた。
 そのリスクを考えれば、黒竜はもっと強引で更に広範囲な攻撃を仕掛けてきても全くおかしくはない。

 いや、むしろ既にその考えに至っているのか?
 何をすべきか取捨選択している最中なのか?
 或いは俺と同じで、もう既に切り札を持っている?
 ならばなぜ使ってこない?

 待っているのか、それとも――今、既に準備しているのか?

 ぞわり、と全身に鳥肌が立ち、得体の知れない悪寒が背中の後ろを流れ落ちた。
 こちらは必殺を想定した切り札なのだ。当然あちらも必殺を想定している。
 俺の必殺は当然強力ではあるが、黒竜の必殺とは『どの程度の次元になる』?

 バックステップした先でオーネストの背中と俺の背中が軽くぶつかった。
 偶然ではない、と直感する。オーネストも似たような結論に至ったから合流しに来たのだ。

「顔色が悪いな。気付いたようだから言っておく。奴は必殺の一撃の準備をしている……その証拠にさっきから黒竜の再生した片目に異常なまでの魔力が収束している」
「魔力って……あいつ、何する気?」
「俺達を殺す気なのは確かだろう」

 互いの顔も見えないまま、黒竜にだけ意識を集中させる。黒竜はまとめて俺達を吹き飛ばすように無数の真空の刃を乱れ撃ち、いくつかの鎖を破壊しながらこちらに飛来した。一度別れ、逃げた先で再び背中合わせになる。

「どうやらあれは目ではなく、『別の器官』らしい。考えてみれば当たり前だ、ずっと片目で戦ってきた黒竜に今更もう一方の目が復活しても使い辛いだけだからな」
「何個仕込みすれば気が済むんだあいつ。くそう、地上に戻ったらガウルの義手にも仕込みしてやる」
「勝手に言ってろ。それより、魔力の収束具合からして奴が札を切る時は近いぞ」
「なんとなく想像ついてたわ。甘い話って本当世の中にはないよなぁ……」
「だから……」
「だから、俺たちはどうするんで?」

 大軍師オーネスト様のありがたーい――これは嫌味ではないが――作戦曰く。

「使う前に抉殺(けっさつ)する」
「どシンプルな無茶ぶり来たッ!?」

 やられて嫌ならやらせない。オーネストの思考は常にシンプルで最短の道を行く。
 言葉に出した以上、オーネストは本気である。俺達の人生で一番短く、一番難しく、一番命懸けの作戦を本気で今すぐ決行するからお前もやれと言っているのだ。
 滅茶苦茶である。暴君だ。自分本位にもほどがある。
 しかしこの男がそう言うのなら本当にここで叩かないと詰むんだろう。

「あぁ〜………命懸けの闘いってのはこんなに心臓に悪いんだな。背中越しに鼓動が伝わってたりしない?」
「ふん……俺の心臓の五月蠅さで相殺されてるのかもな。まったく、未来(あす)
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