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ないのだろうか?
それがなぜ、宰相ほどの人が宿屋を兼業してる酒場などに来るのだろうか。
「まさかそこに質問してきますか」
「ひぃっ、ごめんなさいっ! ダメだったでしょうか!?」
「いえ、構いません。 知りたいのでしたら教えますよ」
ふぅ…とロックスは一つ息をついて、静かに食器を置いた。
「こういった場所での方が気が楽なのですよ。 安いし、量もあるし、それに味もイイから文句なしです」
「物凄く共感出来てしまう僕がいる………でも、大丈夫なんですか? 色々と…その、いけないような気がするんですけど」
自分程度の頭では具体的な問題点が挙げられないが、少なくとも宰相がやる事じゃないから、色々と不都合な事があるのだと何となく想像出来る。
見た目からして、宰相が酒場でモリモリと食事している光景など常識が迷子になりそうである。
…あれ? 常識って、なんだっけ…?
「さっきも言ったように、私は出自が出自ですからね。 他の平民と同じように裕福ではなく食べる事に贅沢は言えなかった。 そんな風に暮らしてきたから、今でもこういった食事の方が性に合うのですよ」
「な、なるほど…」
「まぁ、これも普通の事ではないので、あまり大っぴらに言わないように」
ごめんなさい、口が裂けてもそんな事を言い触らせそうに無いです。
僕にそんな勇気があれば、傭兵を辞める事になったりはしなかったかも知れない。
「質問はそれだけですか?」
「あ、いえ」
質問する事はあまりない。 元々頭がよくないから質問したいと思えるほど多くは思い浮かばなかった。
しかし、あえて言うならもう一つ、あるにはあった……。
「僕のお役目も…早く終わったり出来ないでしょうか?」
「無理です」
「そんなぁ!」
即答で一蹴された。
お役目とはもちろん、例の姫陛下の従者になる件だ。
傭兵には分不相応な役柄だから早々にお役御免にしてくれるかなぁ、とか…という淡い期待も秒殺。
「あの姫陛下を相手に、そのような要求は通りませんよ。 ちゃんとした理由を語り、それに伴う利益と不利益を示し、物分かりよく意思を伝えるようにした上で……姫陛下はそれを力尽くでねじ伏せるでしょう」
「それダメでしょう!?」
「諦めろ、と言う事ですよ」
おうふ…。
ロックスはとても分かりやすく物凄くざっくりとまとめてくれた。
どうあがいても僕の傭兵人生は暗雲しか残されていなかったのだと
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