35部分:第三十四話
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第三十四話
第三十四話 屑
鏡の世界とのつながりも出来た小田切君達。博士だけは意気揚々としたままであった。
「これは凄い発明なのじゃよ」
「まあ二つの世界を結び付けていますからね」
それは素直に認める。
「やっぱり」
「じゃがそれだけではない」
博士はニヤリと笑ってきた。
「他にも使い道がある」
「どうするんですか?」
「うむ」
博士は急に勿体ぶってきた。
「例えばじゃな」
「ええ」
「悪党がおったとする」
「悪党ですか」
じゃあこの博士は悪党じゃないのだろうかとは思うがそれは言わない。
「ほれ、今来ておるな」
「今!?」
「あそこにじゃ」
見れば公園の前でカップルに絡んでいる柄の悪い男達がいた。
「ああした屑共はな、よく使っておる」
「何にですか?」
どうせ碌でもないことだろうとは予想している。例えば。
「生体実験とかの」
「それですか」
それを聞いてやはり、と思った。
「じゃが今回はじゃ」
「はい」
「もっと面白いことをしよう」
「どうするんですか?」
「あの連中を鏡の世界に送る」
「鏡の世界にですか!?」
「左様。言うならばわしの崇高な実験の為にこの世のダニを使ってやるのじゃ。これこそ人類への貢献じゃな」
「まあ屑はいない方がいいですけれどね」
小田切君もこれは同じ考えである、どうしようもない屑は始末するしかないのである。
「それでじゃ」
「鏡の世界に送ってみると」
「まあ生体実験と同じじゃな。これ」
その屑共に声をかける。
「無駄に生きているのも今日で終わりじゃ。屑にしては見分不相応じゃがわしが実験に使ってやろう」
「何だこの爺」
「いかれてるのか!?」
屑共は博士の声に反応してきた。
「何ならやっちまうぞ」
「こんなブス放っておこうぜ」
「そうだな。まずはこのむかつく爺からだ」
カップルから離れて博士に向かって来た。小田切君はそんな連中を見て思った。
「やっぱりこいつ等は屑だ」
と。普通に思った。
「博士を知らないなんてな。やっぱりどうしようもない」
博士は凄まじく悪い意味で有名人である。それを知らないとは馬鹿もここに極まれりだからである。知っていれば逃げ出しているであろうから。
「ほう、来たな」
「うるせえよ」
「覚悟しろや」
博士を取り囲んできた。だが博士はその口元に余裕に満ちた笑みを浮かべていた。
第三十四話 完
2006・11・14
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