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神剣の刀鍛冶
EPISODE06勇者X
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と闘志を混じりこませたように見えた。
おもてなしを忘れるほど、我々は無粋ではない――

「貴様!代理契約戦争(ヴァルバニル)の生き残りだろう!?ワシもそうだ!同世代同士仲良くやろうじゃないか!」

「戦争の……生き残り?」

紅蓮の炎を纏う悪魔を見て、凱の顔は青ざめた。
以前、ルークから聞いたことがある。

――悪魔契約の経験者は、戦争の主犯とされて、ずっと迫害を受け続けるのだと――

その苦しみ、痛み、悲しみは、この大陸の人々にとって、仕方がないと捉えるのかもしれない。
しかし、人間同士の絶えない戦争とは無縁の世界で生きてきた凱にとって、とてつもなく耐えがたい事実だった。
その凱の瞳の奥先には、ハンニバルとヒューゴーが血眼になって探している黒衣の男が立っていた。
まるで、全てを見透かしたかのように、会場の外壁に突っ立っている。不穏な唇が見え隠れする。

「あれは!黒衣の男!」

「何だと!?ガイ!」

ハンニバルの表情が急激に強張った。それもそのはずだ。一切の禍根となるべく人物が目の前にいるのなら、確実にとらえるべきだ。

「行け!ガイ!」「団長?」

「騎士団の中でヤツに追いつくことが出来るのはガイ!お前だけだ!この場はワシ等に任せて早く行け!」

「了解!!」

上壁の彼方に獲物を定めた獅子王(ガイ)は、その双眸を細め、闘志を穿つ。左手の獅子篭手を空高く掲げながら、勇者は戦闘態勢に移行する。

「もう逃がさないぜ!!黒衣の男!!イィィィィクィィィィィップ!!」

凱はその場から数10アルシンを跳躍し、一瞬で外壁に取り付き、すさまじい速度で目標に接近する!

獅子が目前に迫っているにも関わらず、標的とされた黒衣の男の口元は深く吊り上がる。
まるで、待ちかねたような表情で――

「最高の客人だ。丁重にもてなしてやらねば。来い。エヴァドニ」

黒衣の男に呼ばれた黒衣の貴婦人は、何も言わず彼に寄り添うように前へ躍り出る。





――眠りを解け――





――闇を纏え――





――結末をあなたに――





――神を殺せ――





渦巻く黒炎に包まれた貴婦人は、一本の刃へと姿を変える!

(あれは!もしかしてアリアと同じ魔剣なのか!?)

凱の推測は正しかった。

常闇のような黒。波打つ刃が凶器と認識させる。その剣はフランベルジュ。
アリアと同じ魔剣なら、きっと何かしらの能力を秘めているに違いない。凱は目の前の魔剣が放つ瘴気に戦慄を覚えた。
直線的に揺るぎない意志を連想させるアリアのレイピアとは、180度印象が違う。この黒きフランベルジュの剣は――
肉を抉り、まき散らし、喰らう。何者も喰
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