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神剣の刀鍛冶
EPISODE06勇者X
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リーはげほっとむせ返った。後ろを振り向くと、そこには二人の上司、ハンニバル=クエイサーが満面な笑みでたっていた。その傍らには、市長のヒューゴー=ハウスマンもいた。
ニヤニヤした顔がいやらしいぜ。団長。
「ついにキャンベル家のメジャーデビューだな」「私の自己紹介ははいってません!」「なんだ。残念だ。そんなに胸でかいのに」「胸は関係ありません!」と赤髪の騎士とその団長の漫才を、凱はおもしれーやと思いつつ見守っていた。
気がつけば、市長もセシリーの胸を見つめていた。恥ずかしさでセシリーが「市長もどこ見てるんですか!?」
とぷりぷり怒っていた。今まで知らなかったが、意外なことに、ヒューゴーもスケベだった。
団長と市長にいじられ続けるセシリーが可哀想に思えてきたので、凱はちょっと助け舟を出すことにした。

「団長、本当に悪魔は来るんでしょうか?」

「来るだろうな。先日の盗賊団がそうだったように、悪魔契約を平気で使ってくる奴らだ。何をしでかすか分からん」

悪魔契約を平然と使う奴らが欲するもの。
魔剣アリア。彼女そのものだ。
今回の『市』開催は、かなりの冒険だと凱は思えてならない。
都市の収入源も大事なのは、凱にも分かる。しかし、犠牲となる人の命と天秤にかけていいものなのだろうか?
一時はそう思った。だが、凱が考えている以上に、市長もそれは十二分に分かっているはずだ。ヒューゴーとしても苦渋の決断だったに違いない。だから昨日の深夜の会議にこういったのだ。
――全ての責任は私がとりましょう――と。
ならば、俺の指名は何としても黒衣の男をお縄にする。それだけを考えよう。凱の生命の恩人である市長に報いるためにも。
セシリーにとっても、アリアと結べた友情を「束の間」になんかしたくないはずだ。騎士と魔剣の絆を誰よりも知っているのは凱において他にいない。

やがて「セシリーさん、お願いします」と女性の司会者が楽屋裏まで呼びかけに来た。

「出番だぜ!セシリー!」

緊張でなかなか足が進まないセシリーを見かねて、凱は彼女の背中を一押しする。

「わわ!ガイ!?」

突然背中を押され、セシリーは前につんのめりそうになった。後ろを振り返る。
凱は力強い笑みをセシリーに向けた。セシリーにとって、それが彼女に対する最大の励ましに思えた。

「気負うなよ」

「ガイ?」

「俺たち一人ひとりが出来ることなんてたかが知れている。でも、俺たちは『自衛騎士団』だ……」

ここまで言い終えると、凱は指を人差し指、中指、薬指三本立てる。そして指を折りながら要約する。

「敵が出現する」

薬指を折り――

「住民を避難させる」

中指を折り――

「俺たちがそいつを倒す」

最後に、指の中で一番長い人差し指
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