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神剣の刀鍛冶
EPISODE06勇者X
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う。肉眼に飛び込んだ光がやけに痛い。

「飲めよ」

その影は、浮浪者にはとてもまぶしく見えた。影はやがてはっきりと人の形を整え、浮浪者の視界に映るように前に出た。
さらに前に出たのは、香ばしい程の肉汁の匂い。濃厚な熟成アルコール。
青年は、それらをそっと差し入れをした。容器から放たれた肉汁の香りは、その肉質とともにあふれ出る。酒瓶の蓋からは、まるでシャンパンのように豊かな香りをあたりに撒き散らす。

「ムチャクチャ美味いんだぜ」

青年は、そっと浮浪者の横に腰掛けた。

この男は悪魔ではない……

――天使だ――

浮浪者は我を忘れて、豊満な肉に、酒瓶にむしゃぶりついた。久しぶりの食事にありつけた。
肉は殆どかまずに、ある程度食いちぎるとそのまま飲み込んだ。とにかく空腹を消したい。その一身だった。
酒など、食道の太さが許す限り、そのまま勢いよく流し込んだ。今まで失われた水分を補充するかのように。

「旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。旨い。」

あふれ出る感情は、大粒の涙となって散っていく。
浮浪者は、生まれて初めて感謝した。
ダメかと思った。本当に死ぬかと思った。
浮浪者の涙は止まらない。人の優しさに触れた彼の心は、瞬くに決壊した。
隣にいる青年は、そんな浮浪者をこう揶揄した。

「旨いだろ。涙が出ちまう程に」

しばらくして、浮浪者は落ち着きを取り戻した。

「あんた、もしかしてあの時の……」

そう青年が言いかけたとき、浮浪者は何かぶつぶつといい始めた。

「……ック……ダー……」

よく聞き取れず、耳をさらに傾ける。

「ジャック……ストラダー」

浮浪者は、そう名乗った。久しぶり、いや、何十年ぶりなのだろう。人に自らの名前を名乗るのは。

「ジャック=ストラダーか。その名、覚えておくよ」

フッと優しく微笑んだ青年の横顔は、浮浪者にとって生涯忘れられないものとなる。
黒衣の人物と青年が、偶然にもすれ違いさまに居合わせたこの出来事は、浮浪者の心に照らし出した、いわば「光と影」だった。





【独立交易都市・『市』会場・楽屋裏】





「ああ〜〜うう〜〜ああ〜〜」

「緊張しないで。大丈夫だって」

一人うろうろする騎士、セシリー=キャンベルを、アリアが励ましをかける。

「アリアのいうとおりだぜ、セシリー。いつもの訓練と同じことをやると思えばいいからさ」

「お、おう」

どうしても言いたい。どうして私なのだと思った矢先――

「セシリー!ガイ!そろそろ出番だな!」

「二人とも、準備は宜しいですか?」

張り手で背中をたたかれ、凱とセシ
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