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天本博士の怪奇な生活
34部分:第三十三話

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第三十三話

                 第三十三話  逃げ道
 モンスター達をカードに封印して元の世界に戻った。まずは無事に帰ってこられて何よりであった。
「けれどなあ」
「どうしたんだい、小田切君」
 ぼやく彼にタロが声をかけてきた。
「あのモンスター達大丈夫なんだろうかね」
 小田切君はそれを心配していたのだ。
「一応カードに封印はしているけれど」
「さあ」
 ライゾウがそれには無責任な返事をしてきた。
「駄目なんじゃないかな。だってあの博士だし」
「やっぱりそうなるんだね」
「だってさ、今までが今までだし」
 彼は言う。
「何が起こっても覚悟はしておくしかないんじゃないかな」
「覚悟なんだね」
「まあそうだな」
 ライゾウは答える。
「何かあったら逃げる用意でもしておこうよ」
 タロの提案は逃走であった。闘争は最初から頭にはない。
「命あっての物種だし」
「結局はそうなんだね」
「そうさ、生きていればいいじゃないか」 
 ライゾウも言う。
「そうすればチャンスはあるって」
「けれど逃げるにしても
 ここで小田切君は言う。
「それであの博士の災厄から逃げられると思うかい?」
「地球を出ないと無理だろうね」
 タロが答えた。
「何があっても博士の災厄だけは」
「地球規模で迷惑だし」
「そうだよね。じゃあ無理じゃないか」
「ううん」
「逃げても無駄かな」
「どうしようかな」
 本当に困ってきた。
「逃げても無駄なんじゃねえ」
「そうだよね」
「どうしたものやら」
「ここは腹を括るかい?」
 小田切君はふと言った。
「腹を」
「うん、大変なことは覚悟してさ。博士と一緒に」
「いるの?」
「本当に洒落にならないよ」
「それでもだよ」
 あえて言う。
「側にいる方が止められる可能性がほんの僅かでも・・・・・・ないか」
「ないね」
「それはね」
「やっぱりね」
「まあ意外と身近って安全だからさ」
「ここはしっかりといこうよ」
「そうだね」
 小田切君と二匹は腹をくくった。だがそれがあらたな悲劇のはじまりであった。


第三十三話   完


                   2006・11・7


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