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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第241話 不穏な影
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ポイントに戻る、と言う手筈で行こう」
「りょうかーいっ!」

 ユウキは笑顔で手を挙げる。
 歴戦の戦士の風格がばんばん、と漂うリュウキの雰囲気を見て。

「リュウキさんは、なんだか死にそうにない気がしますがね? あっ、そうだ。もしも、倒せそうなら アイテム使用も辞さない、と言う事でいいですよね?」

 口許に手をあてて笑っていたランが、アスナの方を見てそう言う。
 アスナもゆっくりと頷いた。

「勝てるのなら、それに越したことはないからね。でも……」
「勿論。リュウキさんに頼りっぱなしにはなりませんよ。私も頑張ります」

 ぐっ、と拳を握りしめ、可愛らしい、と言う印象が強かった顔に凛々しさが生まれた。目の奥に光る輝きもさらに増した様に見える。そんなランの表情を見たユウキはにこっと笑い。

「わ、この表情の時の姉ちゃんってば、強いんだよー? ひょっとしたら、リュウキにも勝っちゃうかもしれないね?」

 そう答え、そして それを聞いたレイナも同じく笑いながら。

「あはは。お姉ちゃんもそう言う所、あるよねー。なんだか、ランさんとお姉ちゃんは、似てる所、あるよね?」

 そう答えていた。
 その後は勿論、ランもアスナ同様に、調子の良い妹に『こらっ! ユウ!』と軽くげんこつを落とす。アスナもジュンの時の様にレイナに『助長しないっ』っと、ぱちんっ、と指でオデコをはじいた。
 そんなやり取りを見てリュウキも笑う。

「……次は判らないさ。差なんか、殆ど無かったからな」
「リューキさんも、あまりからかわないでくださいー」


 戦いの前の陽気な一時は、良い具合に緊張をほぐす事が出来た。


 スリーピングナイツのメンバーは、元々、そう言ったものが影響してしまって、ミスをしてしまう様な実力者たちじゃない、とは思うが、それでもボス戦においては、立て続けに失敗しているから、少なからずはあるだろう、とも思える。

 アスナは、ゆっくりと皆を見渡した後、『行こう!』と告げようとした時だ。

「ああ、アスナ。後、少しだけ待ってくれ」

 リュウキがそう一言。まるで思考を読まれたような気分になるが、リュウキだから別に珍しい事ではない。

 でも、ほかに何かあるのか? と疑問に思ったから、レイナはリュウキに。

「えと、何か他にあるかな? リュウキ君」

 そう聞いた。

 リュウキはゆっくりと頷くと……ボス部屋から背を向けて一言つぶやいた。



「―――無粋な真似は、あまり されたくないからな。少々施しておく」

 




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