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天本博士の怪奇な生活
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第二話

                 第二話  博士とパエリア
 とにかく変人どころか魔人と言ってもいい奇天烈な博士だがこんな博士にも生活がある。普通にスーパーに買い物に出掛けたりしている。しかし。
「ママ、あれ」
「しっ、見ちゃいけません」
「おい、どっかの悪の秘密結社か何かの人か?」
「特撮ものの撮影の途中じゃねえのか?」
「いや、あれ天本博士だぞ」
「ゲッ、あの」
「近寄るなよ。いきなりさらわれて改造手術されるぞ」
「くわばらくわばら」
 こんなふうに周りには人が寄らない。だが博士はそんなことは全く気にしない。空気よりも気にしない。
「只今」
 普通に研究所に帰る。なお博士は独身である。
 研究所が家でもある。外見はごく普通の怪しい研究所だがその地下は複雑に掘り込まれ迷路の様になっている。博士はここで研究をしたり日々の生活を送ったりしているのである。 
 そこには小田切君もいる。彼は自分のアパートも持っているがこの研究所に寝泊りすることも多い。
「今日は手羽先買って来たぞ」
「それをどうするんですか?」
「パエリアを作る」
「パエリアですか」
 博士の好物の一つである。
「他にはサフランや大蒜、トマト、貝や海老もな」
「豪勢ですね」
「一緒に食うか?パエリアは大勢で食うのが一番美味い」
「大勢って二人だけじゃないですか」
「人は呼ぶものじゃ」
 それに対する博士の返答は見事なまでに無茶苦茶であった。
「呼ぶものって博士」
 こんな研究所に誰が来るのか、そう言おうとした時だった。
「心配無用」
 博士は言った。そして懐から何やら取り出してきた。見れば何かのスプレーであった。
「何ですか、それ」
「この前発明したものでな。ガスじゃ」
「毒ガスは国際法違反ですよ」
 そんなことをこの博士が守るとは到底思えないが一応は言った。
「違うな、これは人を招くガスじゃ」
「招くんですか」
「左様、これを街に撒くとな。それだけでここに人が来る」
「はあ」
 どちらにしろかなりやばいものでありそうだ。悪用されればとんでもないことになりそうだ。
「どうじゃ。これでパエリアを美味しく食べられるぞ」
「けど博士」
「何じゃ?」
 ここで小田切君が突っ込みを入れてきた。
「人が多いとパエリアの取り分減りますよ」
「何とっ」
「どうします、それ」
「ううむ」
 博士は腕を組んで首を捻って考えた。そして結論を出した。
「止める」
「止めますか」
「パエリアはたっぷり食いたいからな。止めじゃ」
 あっさりと方向転換した。結局パエリアは二人で食べることになった。
「それでそのガスどうしますか?」
「これか」
「はい。折角発明したんですし」
「とりあえず東京特許許可局
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