第20話
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を傾げた。
「うん。私にもお姉ちゃんが居るんだ。料理は出来ないけど。」
「そうなんだ。かずみちゃんのお姉ちゃんってどんな人なの?」
「ええと・・・」
私はサキに解放された“ミチル”の記憶を頼りに思い出す。
「料理が上手で、グランマの事が大好きで、リーダーシップがある人だったんだ。」
「そうなんだ。え?“だった”?」
「うん。お姉ちゃん、少し前に亡くなったの。」
「え・・・ごめん。」
「ううん、気にしないで。それよりいずみ、にんじんは切れてる?」
「うん。形はちょっと歪になっちゃったけど。」
そう言ういずみの短冊切りにしたにんじんは、厚さや形が一定ではなくまちまちだった。
「それくらい大丈夫だよ。」
「ホント、いずみは機械に関しては器用なのに、料理とか女の子らしい事は苦手よね。」
同じ班のツーサイドアップの子、一香が言った。
「そうなの?」
「うん。機械いじりとかは好きで得意なんだけど、料理とかお裁縫は苦手で。練習はしてるんだけど・・・」
「大丈夫。頑張って練習し続ければ上手くなるよ。」
「ありがとう、かずみちゃん。」
そうやって、皆で手分けして餡掛け焼きそばは完成した。私が切るのを担当した食材以外は形が歪なのが結構あったけど、美味しく出来た。
「すごいね、かずみちゃん。おいしいよ。」
「私がすごいなんて、そんな事は無いよ。これは皆で作ったんだから。」
「でも、味付けと仕上げはあなたがしたんじゃない。」
一香が言った。
「料理の味はそれだけじゃ決まらないんだよ。下処理とか焼き方も関わって来るんだから。」
「それだと、焼くのを担当した一香ちゃんのおかげでもあるね。」
「な、何よ。褒めても何も出ないわよ!」
いずみに褒められて一香は照れた。
「そう言えばいずみ。機械いじりが得意って言ってたけど、ラジオとか直せるの?」
「うん。まだ色々勉強中だけど、やっぱり女の子らしく無くて変かな?」
「そんな事無いよ。特技は人それぞれだもん。」
「そうよ。日奈森さんだってそう言ってくれたじゃない。いいかげん自信を持ちなさいよ。」
「日奈森さん?」
一香の口から出た名前に私は首を傾げる。確かそれって、昨日会った子じゃないかな?
「かずみが転校して来る前に転校して行っちゃった子よ。」
「凄いんだよ、日奈森さん。クールでカッコ良くて、それでいて女の子らしさもあるんだ。女子の学年別人気ランキングでいつも上位に居たんだよ。」
「バカな男子が勝手に作ったものとはいえ、凄いわよね。いずみの髪飾りも日奈森さんに憧れてしている物なのよ。」
「つまり、日奈森さんとお揃いって事?」
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