第2話
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中は周りの反応に対しての怒りがとても大きく膨らんでいる。もちろん僕自身はそれを全く表に出さない。と言うよりかは、僕自身そう思っていることすらわかっていないのだ。何か不快だと思っても何が不快で具体的にどう思っているのかは全くにわかっていないのだ。
先生の話が終盤に差し掛かっている頃、そんなことを心中に『無意識』に思っていた僕はその時にあることに気づく。
やけに教室が静かになっているのだ。先ほどの笑いやこそこそとした声は聞こえない。ただ先生の講義とこの教室のざわざわに反応する両隣の教室のざわざわが聞こえるだけである。『まるでさっきのざわざわが|演技<うそ>』の様に誰も話さず、ただ溝田先生の恥ずかしいながらも正論としか言いようのない講義が続いている。
気づかずか、先生はやけに張り切って続ける。
「えぇ〜、皆さん。まあいろんな意見があるとは思いますが、一度読んでみることです。もしかしたらそのとてもふざけた様な本のタイトルからでは全くにわからなかった事があるかもしれない。読んでやっと出会えるのにもかかわらず、『こんなふざけた本が面白いわけがない』という言いがかりで見もせずただただゴミと変わりないものとしてみているようなその態度はおかしい。
実際に人が見て良いものだから、読んでみて良かったと思えるものだから売りに出されるんです。読書は自分の発想力を存分に繰り広げることのできるエンターテイメントの場です。まず、手に取ってみてください。まず、読んでみてください。
何故なら、あなた方がただ表紙で嫌っていたものの中身は、あなたの味方次第で無限に広がっていくのですから。」
先生の『ライトノベルの講義』はいつの間にか『本との向き合い』のような道徳の授業に変貌していた。
先生が話し終わり、僕がそんなどうでもいいことを感じたところで丁度チャイムが鳴る。先生はその音を聞くなり始業式のことを思い出す。
「すいません。皆さん、出席番号順に廊下に二列になってください。一番から二十番、二十一番から四十一番になるように。」
そう言いながら、担任の溝田先生は出席簿を手に廊下へ並ぶように誘導しだす。僕も席を立ち、後ろの扉から教室を出る。
出るなり色んな生徒が男女問わずにお互いの名字を聞き合い、15秒ほどで先生の言った通りの二列に並ぶ。そして教卓のあったほうを背に先頭が歩き出す。
体育館。
三学年の全生徒が集まる。部隊を正面から見て右から三,二,一年生と並んでいる。
校長やPTAの会長の話が長いのはいつものことだが、次の一瞬で生徒達の目の色が明らかに変わる。
『在校
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