第2話
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忘れているのだろう。僕は担任に一気に親しみを持てたが笑っていたりする生徒は違う。そんな人たちこそがいわゆる『オタクキモい』と言うような言葉で全てのことを片付けようとしているのだ。
周りにこのような反応を取られるのは日本ぐらいらしい。まあそれは他の国に日本の文化がないだけなのだが、それでも他国で自分の好きなこと、趣味を口にしてただ笑われるだけ笑われて、そのことを馬鹿にさせることはないそうだ。むしろはっきりと言えない方が笑われるそうだ。
そういう事が、自分らしさを全面に出して腹を割って話をする事が出来ないこの国の環境が、個人というものを恐れて周囲に合わせた集団としての意思を優先するこの国の現状がこうしているのだろうか。
それでも、彼らの笑いはおかしいし、それを先に述べた周囲に合わせた集団としての意思となっていることも気に食わない。
何より、彼らのような自らをこの国の優良人種だと思い込んでいるその態度が、自身というものを平等な測りにかけず、周囲がこうだからこんなことをしても大丈夫というその無神経で頭の悪すぎる理屈があまりにもおかしすぎるのだ。
僕が強ければ彼らに一言「笑うな。」と言えるのだろうか。
『もしも』、だ。もしも僕が今よりも心が強ければ、彼らを叱れるのだろうか。立場的にはできなくとも、人間同士と考えれば出来る事。
実際に溝田先生の言っていることは正論だ。
彼らの存在が溝田先生の本に興味を持っている人達の『読んでみよう』とする意欲を、現在進行形で限りなく削いで言っているのだ。これで読もうと思っていた人たちはもう読もうとしないだろう。
彼らの今の笑いはこのあと読む人にも向けられるのだ。そんなことが目に見えてしまったら、興味のある人はもう読まない。
「黙れ。」
口で発することのできない、言う事自体に抵抗が出てくる。彼らに今この言葉を言えば、自分はいじめのうようなものの対象となり以後このクラスから始まり学年、|仕舞<しま>いにはこの学校の生徒のほとんどが僕をそういった目で見るだろう。
教師は知っていたら僕を助けようとする。知らなければ生徒は一流の役者のような演技をして教師に察しさせないようにする。彼ら彼女らの演技は俳優などとは比べ物にならず、演技だということを見切ることは大抵の人間はできない。
僕はそれでも分かる。彼らが嘘を吐いている時に感じる無理やりな|辻褄<つじつま>合わせ。無理はなくとも不自然に感じてしまうのだ。その時に感じる不快感が限界を超え、僕の心を蝕んでいく。
「黙れ。先生の言っていることを笑うな、話すな。先生の言っていることを正論とも分からないのかっ!?」
僕の頭の
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