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第二十六話
第二十六話 事務所消滅
ヤクザ屋さん達は逃げた。後には博士と小田切君が残っていた。
「それでですね」
「うむ」
「やるんですよね、実験」
「勿論じゃ」
もう銃を構えている。
「やるぞ」
「ブラックホール撃ったら地球なくなるんじゃ?」
小田切君はふと思った。
「博士、そこんところは」
「安心するのじゃ」
博士は言う。
「ほんの欠片のさらに欠片を撃つ。それだけじゃ」
「何だ、そうだったんですか」
それを聞いてまずは一安心。
「じゃあ安心ですね」
「あの建物と周りを消す位じゃな」
「周りってどの位ですか?」
「半径四キロ程じゃ」
「・・・・・・待て」
それを聞いて表情が一変する。
「滅茶苦茶危ないじゃないですか!」
「それは冗談じゃ」
「冗談ですか」
「そんなことしたらわし等まで消えてしまうじゃろうが。それはないわ」
「何だ、よかった」
「まああの建物はなくなる」
きっぱりと言い切った。見れば鼠やゴキブリが出て行っている。危険を察しているのであろう。
「それは間違いない」
「はあ」
「ではやるぞ」
トリガーに指を入れた。
「発射じゃ」
「いよいよ」
「さあ、これが天才の新たな伝説となる」
勝手に言い切った。
「ブラックホールの利用じゃ!人類の英知じゃ!」
「それがこんなマッドサイエンティストによってはじまるだなんて」
「科学は狂気じゃ」
芸術は爆発だ、などという甘い言葉では本当にない。そうだったらどれだけいいか。
「よいな、小田切君」
「もう観念していますから。どうぞ」
「よし、行け!」
トリガーを引いた。
「ファイアーーーーーーーーッ!」
黒い光を放たれる。それは。
「んっ!?」
「あれっ!?」
ヤクザ屋さんの事務所を消さなかった。何か宙へ飛んでいく。
「狙い外しました?」
「ううむ、しまった」
「で、あれどうなるんですか?」
上へ飛んでいく黒い渦巻きを指差して問う。
「あれか、そのうち消えるわ」
「そうですか」
「じゃがな」
ここで博士は言う。
「今ので銃は壊れてしもうた。実験は終わりじゃ」
「そうですか。では」
「帰るぞ」
こうして博士と小田切君は研究所に帰った。後で日本の人工衛星が突如姿を消してしまったのは原因不明のままであった。
第二十六話 完
2006・10・16
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