第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#20
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE] 〜Third Impact〜
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んなものですわね」
集束するコトによって光を放つ凝塊に肌を照らされながら、
緩やかな声でティリエルは言った。
十数分前の光景の再現、或いは平行世界の出来事のように。
一見、シャナが押しているように視えたがソレは錯覚、
現実は数の優位性を少しでも削るため、
遮二無二前に出ていただけに過ぎない。
一方ソラト、ティリエル側は盤石の構え、陣形を一切崩す事無く、
(予想外の爆発は有ったが) 温存した焔儀で確実に討滅を完了してみせた。
「ねぇ? ティリエル。ボク先に行っても良い?
逃がしたアノ人速いから “ピニオン” 壊されちゃうかも」
先刻、傷を負っても自分をフォローしてくれた実兄が
兜の目 庇を固定しながら言った。
「あらあら、よろしいんですの?
お兄様御執心の “贄殿遮那” もうすぐ手に入りますわ。
最も、黒こげになってるかもしれませんが」
冗談めかして告げるティリエルにソラトは
一瞬困った顔をしたがすぐに。
「う〜、でもそれは後でも手に入るでしょ?
オルゴンのおじちゃんとか心配だし、
アイリスお姉ちゃんなんか一人で二人相手にするって言ってたもん」
「お兄様……」
以前の兄 からは、想像もつかないような返答。
“愛染自” または “欲望の嗅覚” という異名から、
自分の願望は抑えられない偽れない、
というより 『ソレしかない』 のがソラトという徒の本質だ。
しかし裏を返せば、彼は
『絶対に嘘は言わない(言えない)』 というコト。
良くも悪くも、自分本位の性格、
その彼が欲しがるものが、大切なモノが
『自分以外』 のモノだとしたら……
“愛染自” “愛染他” 紅世の双児の存在は、
数年前のDIOの出現より、大きな変化を遂げていた。
求める感情のベクトルは違えど、
ソレの向かう先は全く同じモノだった。
「では、手分け致しますか?
私はピニオンの監視と防衛に赴きますから、
お兄様は他の方々を助けてあげてくださいませ」
「うん!」
戦場の直中で晴れやかに笑うソラトに、ティリエルも同様の笑みを返す。
以前ならソラトを一人歩きさせる事など心配で出来なかったが、
今は任せる事の出来る同胞がいる。
互いが互いに拠り、自分達以外の存在など要らないと想っていたが、
その殻を打ち破る事は自己の否定ではなく精神の成長であるコトを
彼女は理解していた。
深手を負っても 『即死しない限り』 何度でも復活出来る能力。
コレさえ在れば勝利は確実、
来た時よりももっと素敵な気持ちで凱旋出来るだろう。
イルヤンカから過去の “大戦” や古の法儀の事はまだ全部聞いていないし、
アイリスは化粧や装飾について詳しく教えてくれると言った。
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