第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#20
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE] 〜Third Impact〜
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!! 鍔鳴りを百倍狂暴にしたような金属音、
廻し受けと呼ぶには些か苛烈過ぎる叩きつけで以て、
両断の斬刀が鎖の巻かれた片腕に撃ち落とされた。
遠隔狙撃銃の弾が一滴の雨露で大きく軌道を逸らすように、
直線的な力は横腹からの干渉に著しく弱い。
ソレを知らない少年と熟知している少女の差、
大刀を握ったままの拳が甲冑に覆われていない左腋下部にメリ込む。
「ぐぎゅっ!?」
受けた事のない衝撃に少年が頓狂な声を発してフェードアウトとすると同時に、
少女は火勢を抑えて後方へと飛び去った。
数瞬前までいた場所に殺到する蔓の群れ、背後で落下する少年も回収してある。
しかし熱を冷ましたシャナの心情とは裏腹に、
蔓の操者であるティリエルは
憤怒の怒りを瞳に宿してこちらを射抜いた。
「流儀ではありませんけど……」
低く沈んだ声、しかし抑える為ではなく爆発させる溜めの。
「赦せませんわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
交差して前に突き出された両腕に連動して飛び掛かる蔓の嵐。
(ワンパターンッ!)
傲りではなく反 撃の機を得るため、
余力充分に構えるシャナの予測はあっさりと否定された。
標的を大きく外れて弧を描いた蔓、
その軌道上をトレースして山吹色の炎弾が次々と生まれ、
一拍遅れてくる暴風に加速受け無軌道に射出された。
「――ッ!」
無論ソレは他の蔓も同じコト、続く二陣、三陣は蔓に直接弾かれる為
破壊力、スピード、精密動作性共に初弾とは較べモノにならない。
焔儀の基本中の基本、
悪い言い方をすれば初歩の初歩と呼べる 「炎弾」 も、
ティリエルほどの遣い手となると恐るべき “流式” へと変質する。
「ウフフフフフフフフフフフフフッッ!!
コレで一切の逃げ場はなし!!
空中に 「地下」 は御座いません!!
炎の繭にくるまれてお眠りなさいませ!! フレイムヘイズ!!」
如何に見落としがあったとはいえ、
先刻己の最大焔儀を防がれたのは屈辱であったようだ。
あどけない稚気を隠すコトもなくティリエルは葬礼の言葉を送る。
既に威力を増した炎弾の包囲網は十重二十重、
高熱と焦気により虫の入る隙間もない。
その回避不能の黄獄の中で、何を想ったかシャナは
唯一対抗出来るであろう愛刀を黒衣にしまった。
「……」
疑念を呈するアラストールに聞こえた、
口唇からポソリと漏れた独り言。
瞬く間に全方位から射出された炎弾が、
裡に破滅という毒牙を孕んだ地獄蝶の繭を形成していく。
「フッ、他愛もない。少々手こずりましたが、
一人になればこ
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