第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#20
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE] 〜Third Impact〜
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れたフランス人形の如く、
二つに別れて堕ちていく実妹にソラトは宙空で届かない手を伸ばす。
幾ら治癒の自在法が在ろうとも、 『この場合』 ソレは関係ない。
しかし、仮にティリエルが無傷の状態であったとしても、
彼が次の事態に反応出来たかどうかは疑問である。
なぜ、なら。
「え――」
信じられないもの、というより存在し得ないモノを視る眼でソラトは呟いた。
ティリエルに追いすがろうとしていた彼が
ふと右側に視線を向けたのは(微かな音、熱気、色々あろうが)
『何となく』 としか言い様がない。
しかしソコに在る筈のないモノを視た時、
人が心中を見透かされた瞬間と同様
生物の活動は停止しその身体は硬直する。
ズァギャアアアアアアアァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!
わざわざ確認するまでもなく、ティリエルを屠った灼煉の月輪は
彼女の躰を突き抜けて遙か後方へと消え去った、その筈だった。
しかし実際には眼を凝らさねば視認出来ないほどの
小さな点となった位置で蛇行して折れ曲がり、
元の場所へと戻ってきていたのだった。
嘗て中世、ネアポリスという小国の処刑執行官、王族護衛官が
「鉄球」 に用いていた技術(後者の方がその練度は顕著である)
特殊な例でなくとも狩猟や儀式に同様の術を使っていた歴史が人間には在る。
幼い紅世の徒であるソラトがソレを知らないのはある意味必然、
纏った甲冑ごとティリエルと同様に半身を轢き断たれたのは至って当然。
凄まじい殺傷力を暗幕に、相手の意表を突く奇巧も織り交ぜた異例の業
ソレが 『贄殿遮那・火車ノ太刀/熔斗』
ソレを生み出せし存在は正に、炎を自在に万化させる 『紅の魔術師』
バジュッ! という相殺音を伴って(受け止める掌は炎気で覆われている)
鎖は持ち主の手に戻った。
役目を終えて急速に冷えていく鎖面が、少女の面影を映す。
「……」
しかし、シャナは特に深い意図が有って、この業を遣ったわけではなかった。
ただ預かったもの、大切なモノを在るべき場所に返す為、
自分の手元から決して離さないと強く誓約しただけだった。
その選択は、おそらく肯。
半身を断たれ、炎に包まれながら手を重ねて堕ちていく
二つの存在がソレを顕している。
即座に広範囲で、大きく立ち上がる 『光の柱』
「――ッ!」
しかし、数が減っている、5本ではなく4本。
それでも充分に、流れる光の波は瀕死の双児を癒していくが
そんなコト気にもならないほどに、シャナの裡で炎が光と共に燃え上がった。
輝く光炎、その中心で浮かび上がる存在。
「止められない……止まらない……」
アイツと共に戦う、アイツ
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