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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第39話『視える』
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って、ハルトの周りの人もみーんな魔法を使えるんでしょ? それってかなり凄いよ?」

「んん…よくわかんないな」


ユヅキの言葉に首をかしげながら応答。
元の世界とこの世界での価値観の違いは、こういう所からよくわかる。
だから、晴登もユヅキに同じような感想を持っていた。


「ユヅキだってさ、もうずっと前から魔法を使えるって言ってたよね? それこそ凄いと思うけど」

「うん、まぁ周りよりかは…」

「それにこの王都から北にある大きな街に住んでたんだって? どんな所?」

「あんまり覚えてないかな…。けど、帰ろうとは思わないな」


ユヅキの故郷が話題に上がると、晴登はそこに焦点を当てて話を続ける。以前も少し聞いたことはあるが、まだ詳しくは知らないのだ。


「帰らないって…親は心配しないの?」

「未だに連絡1つない時点で、そこまでの心配はしてないと思うよ」

「え、それって…」


今の発言に晴登は絶句。
ユヅキは楽観的に言っているが、今のはもしかすると別の意味を含んでいるのではないだろうか。
「心配していない」。それはユヅキの強さを思ってのことなのか、それとも気にも留めていないということなのか。
後者の場合、かなり残酷だと思うが…。


「大丈夫だよ。今はハルトも居るから」

「え…?」

「昨日言った通り、ボクには友達がいないからね。ハルトが居てくれてとても嬉しいよ」

「あ、いや…」


真っ向からこうやって感謝をされると、照れてしまうのが晴登。それを堂々と素直に言ってのけるユヅキだから、晴登は目をそらして、


「…ありがとう」

「こちらこそ」


照れ隠しに一言。
その言葉に、ユヅキが笑顔で答えてくれたのは見なくともわかった。
晴登は赤く染まった頬を掻きながら、「じゃあ出ようか」とユヅキに告げる。彼女はそれに応じて会計を手早く済ませると、ニッコリと晴登に微笑みかけながら一緒に店を出た。


異世界生活2日目にして、晴登とユヅキの仲は深まっていった。







「氷の魔法に風の魔法か…。あんな子供がそんな有能な魔法を使えるとは、興味深い」


そう独り言を呟くのは1人の男性。
というのも、彼は先程昼食をとろうと店に寄った結果、見たことのある2人の子供に出会った。彼らからは魔力を視ることができ、まさかと思って話し掛けたら予想通り。あんなに幼い子でも魔法を使えるのかと、その時はとても驚いた。
しかも少年の方は、周りの人物もそんな境遇だという。


「こんな話ってあるんだなぁ」


思い起こせば、何が興味深いのかなんて元より考えてはいないと気付く。ただ、不思議な話を聞いて面白がる自分がいるだけ。

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