第39話『視える』
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「いや、これでいいよ」
晴登が選んだのは、ハンバーグに似た何か。値段が他に比べて安いというのもあり、迷わず選んだ。
ちなみに・・・
「まぁ、文字が一切読めないってのは内緒事項だな」
「何か言った?」
「いや、何も!」
晴登はまた1つ、異世界での深刻な問題に気づく。
それは、言語は日本語で通じるという奇跡は起きたが、文字はそうはいかないということだ。メニュー表なんて、もはや絵のついた暗号文でしかない。
ただ偶然にも、数字だけは見慣れたものと似ていたので、値段らしき部分は辛うじて読み取れた…はず。
「まぁ文字なんて読めなくても、会話ができりゃ何とかなるか」
その結論に至り、ひとまず安心。コミュ障? そんなの知らん。
さて、ユヅキはもうメニューを決めているようで、いよいよ頼もうとした、その時だった。
「あれ、君たちはさっきの・・・」
「「え?」」
不意に投げかけられた声。それはどう考えても、こちらに向けられたものだった。反射的に振り向くと、そこには容姿端麗の男性が立っている。
そしてその顔には見覚えが──
「時計屋に来た人・・・ですよね?」
「そうだよ。良かった、やっぱりさっきの子達か」
晴登が確認の意で問うと、彼はそれに肯定で答える。
その表情には安堵が見え、綺麗な顔立ちをより一層引き立てていた。
しかし、その反応には些か疑問も・・・
「あれ。何で俺たちを知ってるんですか?」
晴登らはこの男性と話した訳ではない。ずっと店の奥から、覗くようにラグナとの会話を聞いていただけだ。
それにも拘らず、彼は自分らを知ったように話した。どういうことだろう。
「おっと、これは失礼。僕には君達の姿が視えていたものでね。この眼のお陰で」
「眼?」
男性はいつの間にか、晴登たちが座るテーブルに一緒に座っていた。
それにしても、彼の話はおかしなものだ。隠れていたのに見えたとは、一体どんな原理だろうか。
晴登がそこを追及しようとすると、それより先にユヅキが口を開く。
「もしかして…魔眼ですか?」
「その通り。僕の魔眼は『相手の魔力を視る』というものだ。自分以外の人間の、体内の魔力の流れを見ることができる」
「ま、魔眼? 視る? えぇ??」
新出単語の出現で、早くも頭が混乱する晴登。
その様子を見たユヅキが、すかさず説明をくれた。
「えっと魔眼っていうのは、その…魔力を持った眼のことだよ。色々な種類があって、それぞれ便利な力を持ってるの」
「付け加えると、その種類は生まれた時からもつ先天的な型と、自分の力で眼に魔法を付与する後天的な型の2つに大別
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