第39話『視える』
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せていた。
公園らしき所のベンチに2人で腰掛け、だらしなく腕や脚を投げやっている晴登は、疲れを隠すことなく晒す。
晴登自身はこの探険に満足はしていない。せっかくの探険チャンスなのに、店巡りという退屈な行事に付き合わされたのだから。
尤も、夕食の食材がないと言われればそれまでだ。居候という身でワガママは言えない。
だが、まずは1つ言うことがある。
「そろそろ昼食だけど…どうする?」
「う〜ん、ここは王都なんだし、久しぶりに外食にしようかな。お金だって残ってるから…いいよね? ハルト」
「もちろん。家に戻ったとしてもやることないからね。どうせなら、今日1日は王都に居ようよ」
「うん!」
晴登の提案をユヅキは快く承諾。
その素直さに笑みで返し、2人は立ち上がり歩き始めた。行き先はユヅキがもう決めているようで、歩みに迷いは感じられなかった。
「──着いたよハルト」
「ファミレスだと…? 異世界にもこんな物が…?」
「何言ってるのかわかんないけど…行くよ?」
「あ、うん」
ユヅキに案内されて着いた場所──そこは、現実世界でも外食といえばよくお世話になる、ファミレスが在った。
見た目だって、知ってる物とさほど違いを感じられない。こんな異世界の風景にすっかり溶け込めるとは、ファミレスの外装恐るべし。
ユヅキについて中に入ると、それはもう見慣れた光景が広がっていた。
内装はもしかしたら違うのではと思ったのだが、外も中も晴登の知るファミレスまんまだった。
「ここまで似てると、かえって怖いな…」
「さっきから何に驚いてるの? そんなにハルトの故郷じゃ見られない物がある?」
「いや、むしろその真逆なんだけど…」
晴登の感情がイマイチ読めないユヅキは、首を傾げる。
だがそんなことを気にも留めない晴登は、店員に案内されて空いている席に座った。
「昼時なのに空いてるとは…これはラッキー」
「ねぇ、注文はどうする?」
ユヅキの問いに、晴登は唸りで返す。
目の前のメニュー表のパラリと捲って見てみると、なんとそこにも現実世界で見慣れた料理の写真がズラリ・・・
──という訳にはいかなかった。
「おぉ良かった。さすがにここまで一緒じゃなかったか」
「何か決めた?」
「あーちょっと待って」
ユヅキの催促に制止をかけ、すぐにメニューを決めに取り掛かる。
巡りめぐってこれもまた絶好のチャンス。異世界の料理はまだユヅキの作ったものしか食べたことがないから、こんな店で出される物がとても気になる。
「じゃあこれにしようかな」
「え、それでいいの? 遠慮しなくていいよ」
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