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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十九話 フェザーン進駐
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体の知れないものを踏みつけたような嫌な物を感じている。

「それは何だと思うかね、ヤン提督」
『……』
「ルビンスキーか、いや違うだろうな、となると帝国? それも腑に落ちん……」
ホアンが呟くように自問自答した。同感だ、だとすると一体何が……。得体の知れないものを踏みつけたような感じはますます強くなった。

『それが何かは分かりませんが、長老会議を抑えルビンスキーを助けたのは事実です。もしかするとそれこそがフェザーンの真の支配者なのかもしれません』
「真の支配者? 馬鹿な、そんな事が」
ネグロポンティが喘ぐように否定したが誰も同意しない。皆難しい表情で考え込んでいる。

「ヤン提督、帝国はその存在を知っていると思うかね?」
トリューニヒトの問いにヤン提督は首を振った。
『何ともいえませんね。ただフェザーンと帝国が露骨に敵対するようになったのはそれが原因の可能性が有ります。帝国が何か不審を感じたとしてもおかしくはありません』

「有り得ない、と言いたいところだが、難しいな……。ヤン提督の考えがあっているとすれば長老会議が開かれる事は無いだろう。となるとどうするか……」
トリューニヒトが周囲を見渡して意見を求めた。

艦隊を進めるのは危険だろう、しかし帝国との約定を反故にし艦隊を退く事は出来ないのも事実だ。それをやれば帝国が全てを公表したとき収集がつかなくなる。

「このまま、艦隊を進めるしかないでしょう。ただ艦隊は一個艦隊に減らしたいと思います。フェザーンに艦隊を縛られるのは危険です」
「ボロディン本部長の言うとおりです。宇宙艦隊もそれを望みます」
ボロディン本部長、ビュコック司令長官が艦隊を減らす事を提案してきた。トリューニヒトは周囲を見て異議が無いのを確認してから同意した。

「フェザーンの真の支配者、それも突き止める必要があるな。場合によっては帝国との取引に使えるかもしれん。それとフェザーンの占領方針を早急に決めなければならん、今夜は徹夜だな、付き合ってもらうぞ……」
トリューニヒトの言葉に皆が渋い表情をしたが不平は鳴らさなかった。艦隊がフェザーン到着まで残り二十時間弱、時間が無いのだ……。


宇宙暦797年1月18日
自由惑星同盟軍第三艦隊 帝国の依頼によりフェザーンへ進駐。
フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキー失踪。



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