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天本博士の怪奇な生活
15部分:第十四話

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第十四話

                 第十四話   改造手術
 博士はとにかくマッドサイエンティストである。だから法律は無視する。
 ところが。時としてそれ以前の状況であることもわかる場合があるのだ。
「フッフッフ、小田切君」
 満面に不気味な笑みを浮かべて小田切君に言う。
「今度の改造手術の素材が見つかったぞ」
「何なんですか、今度は」
 とりあえず尋ねる。
「うむ、空と陸を合わせたものじゃ」
「空と陸ですか」
 とりあえずバランスはよさそうである。
「で、それで素材は?」
「パンダとハクトウワシじゃ」
 博士は胸を張って答えた。
「どうじゃ、凄かろう」
「・・・・・・あの、博士」
 小田切君はそれを聞いて呆れながら尋ねる。
「ワシントン条約って知ってますか?」
「ワシントン条約!?」
 博士はそれを聞いて眉を顰めさせる。
「それは一体どんな料理なのじゃ?イタリア料理か」
「いえ、その」
 どこをどう聞いたらイタリア料理になるのかそもそもが不思議だった。
「違いますよ、それ」
「違うのか」
「そうですよ」
 小田切君は困った顔で答える。
「貴重な動物は丁重に扱わないと駄目って話なんですよ」
「そんなものがあったのか」
「そんなものって」
 本気で驚いた顔をする博士に心底呆れてしまう。
「本当に知らないんですか、博士」
「知っていても研究の役に立つわけでもあるまい」
 博士は平気な顔をして言う。
「よいよい、無視しても」
「そんなこと言ってるとえらいことになりますよ」
「何、平気じゃ」
 伊達に戦争を何度も起こしかけた人物ではない。ワシントン条約なぞ糞くらえなのだ。
「いざとなったら切り札がある」
「何です、それ」
「この前核ミサイルを開発してな」
「・・・・・・ちょっと」
 ワシントン条約以前であるのは言うまでもない。
「それって」
「気にすることはないぞ、はっはっは」
 外から何か外国の言葉が聞こえる。小田切君には何と言っているのかよくわかる。
「ここだ、いいな」
「ああ、抵抗する場合は射殺しても構わない」
「相手は凶悪な狂ったテロリストだ、容赦するな」
「・・・・・・これって」
 その直後世界各国のSPが雪崩れ込む。小田切君共々またしても拘束される博士であった。

第十四話   完


              2006・9・5


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