第三章 エリュシオンの織姫
第8話 青空になるまで
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あろうと、ここで俺に屈せば賊軍の徒労に終わろう」
「……終わりじゃない。俺と同じ理想を抱えている人がいる限りは……まだ終わらせない」
「ならば検証してみるか。お前の正義が、いつまで持つか!」
そして両者は同時に、ベルトにそれぞれの起動デバイスを装填した。ワインボトルと酒瓶が同時にベルトに収まり、電子音声が流れ出す。
『SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P! SHERRY!? COCKTAIL! LIQUEUR! A! P!』
『我、コレヨリ変身セリ。我、コレヨリ変身セリ』
軽快なサウンドと共に流れるサダトの音声に対し、羽柴の方は野太く重苦しい音声が轟いていた。さながら、怨嗟の声である。
続いて、両者は同時に変身のための動作に入った。
サダトはタクトを振る指揮者のように滑らかな動きで、左手の人差し指と中指で「a」の字を描くと――最後に、その指先を顔の正面に立てた。
一方、羽柴は剣を上段に構えるように両手の拳を天に掲げ、青眼の構えのように顔の正面へゆっくり下ろしていく。
「変身ッ!」
「……変身!」
その動作が終わる瞬間、二人は「変身」のコールと同時にベルトのレバーを倒した。双方のベルトに装填されているワインボトルと酒瓶が反応し、その内側に秘めたエネルギーを持ち主の全身に循環させていく。
そうして、サダトの全身を漆黒の外骨格が覆い尽くして行く。だが、その姿は従来の仮面ライダーAPからは逸脱した外見に変化していた。
金色の複眼を囲う意匠は師と同じ「G」の字となり、胸のプロテクターは真紅の「X」となっている。さらに両肩には鋭利に突き出た紅蓮の肩鎧が装備され、その左右両端に「A」と「P」の字が刻まれていた。
風に揺れる純白のマフラーは、その武骨な甲冑姿に見合わない優雅さを漂わせている。
それだけではない。彼の手には、これまで使っていた「P」字型の柄から伸びる片手剣ではなく――「G」の形の柄から伸びた大剣が握られていた。
「破邪大剣GXキャリバー」である。
――これこそ、羽柴の手で強化改造された南雲サダトの、「新たな体」の実態。
「仮面ライダーAP-GX」なのだ。
一方。
羽柴の方も、酒瓶から迸る金色のエネルギーを浴びて真の姿へと変身していた。
曇り空の下に立たされてなおも眩い煌きを放つ、黄金の甲冑。
黒をスーツの基調としつつ、その暗さと対比させるかのような輝きを持った装甲が、全身の各関節部に装着されていた。
金色のマスクは仮面ライダーGを彷彿とさせる一方で、禍々しく吊り上がっている赤い複眼が、その心中の邪悪さを如実に物語っている。
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