第三章 エリュシオンの織姫
第7話 覚悟と銃声
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が溢れんばかりに集中している。間違いなく、破壊力を一点に集中した「必殺技」の体勢だ。
サダトは撃たれる瞬間にアメノカガミノフネを乗り捨て、爆炎をカムフラージュにしつつ、空中から必殺技でタイガーサイクロン号を撃ち抜くつもりだったのだ。
(あの車は、こちらに撃たせて隙を作るための捨て石か。確かに見事な作戦だが――詰めが甘いぞ小僧、タイガーサイクロン号の次弾装填は自動式。次の瞬間にはさしものお前でも――)
だがタイガーサイクロン号の装甲には、サダトの機銃を凌ぎ続けてきた実績がある。
唯一の脅威だったアメノカガミノフネも破壊された今、これまで通じなかった機銃で必殺技を放ったところで、大した決定打には至らない。
その攻撃を凌いだのちには、こちらの砲撃が待っている。どのみち、サダトにタイガーサイクロン号を破壊する力はない。
そう、彼は思っていた。その慢心こそが、サダトが狙い続けていた隙であるとは気づかずに。
(――!? まさか、狙いは……!)
「スワリング――ライダーシューティングッ!」
銃口から溢れ、濁流の如く連射される金色の弾丸。黄金の輝きを纏う鉛の奔流が、流星群となって銃口から飛び続けていく。
その全てが――タイガーサイクロン号の「砲口」へ撃ち込まれていた。細長い筒の奥で、出番を待ち続けていた「次弾」目掛けて。
『――ウオォオオオオオォォオッ!』
自動で装填されていた次弾は、砲身の中を突き抜けて車体の中へ入り込んだエネルギー弾で誘爆し、炎上。
タイガーサイクロン号は内側から火の海となり、中に搭乗していた羽柴を飲み込むほどの爆炎に包まれて行く。
羽柴の絶叫が車体の中から轟いたのは、その直後だった。
「ぐあぁあッ!」
タイガーサイクロン号の起動系統は死んだ。しかし、だからと言って今まで猛進していた超弩級の鉄塊が、急に止まるわけではない。地球には、慣性というものがある。
内側から蒸し焼きにされながら、ただ慣性だけで走る鉄屑と成り果てたタイガーサイクロン号に正面から追突され、サダトのベルトに装填されていたボトルが割れてしまった。
そこを中心に黄色いエネルギーが外部に漏れ出して行き――サダトは追突された格好のまま、変身を解かれ生身の姿に戻ってしまう。
「……あぁあぁあぁああッ!」
『ゴォアァアァアァアアッ!』
そして、互いに絶叫を上げながら。
サダトと羽柴は、その状態のまま林を抜け――風田改造被験者保護施設へと、辿り着いてしまうのだった。
「があっ!」
施設の門前に激突した瞬間、サダトは車体から弾き飛ばされ……羽柴を閉じ込めていたタイガーサイクロン号は、跡形もなく爆散する。
爆炎と黒煙が施設周辺を飲み込み、辺り一面は
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