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仮面ライダーAP
第三章 エリュシオンの織姫
第1話 聖女の偽善
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知数の宇宙人であることに由来していた。

 「銀河連邦警察」の「宇宙刑事」。それがどれほどの規模であるかは、外宇宙と交信する術を持たない地球人には推し量りようがない。
 だが少なくとも、彼女に危害を加えても外宇宙の勢力がそれに気づかない、という可能性は薄いのだ。アウラを傷付けるようなことがあれば最悪、地球人類ではどうにもならないほどの圧倒的戦力が攻めてくる危険性も考えられたのである。

 彼女を捕まえようとしている各国政府は、そこまでは考慮できていない。あるいはできていても、対応次第でどうにでもなると楽観している。
 そんな手合いにアウラの身柄が渡れば、まず丁重な扱いは期待できない。彼らは非道な人体実験に掛けてでも、彼女の力を手に入れるつもりなのだ。

 この地球そのものを危機に陥れないためにも、己の利益しか考えない各国政府からアウラを守らねばならない。それがICPOの出した結論なのである。

 ――そして彼らは、アウラに故郷の星に帰るように促し始めた。

 欲深い人間に正道を説いたところで、何も生み出せはしない。彼女の力が地球上に存在している限り、世界はその力を諦めない。
 これ以上罪のない地球人を苦しめないためには、力そのものを地球上から消し去るしかない。そもそもの原因である彼女自身が地球を去る以外に、事態収束の方法はない。
 それが、彼女の今後に対するICPOの判断だった。

 自分が全ての被験者を救おうとしたばかりに、救った人数以上の新たな被験者を増やしてしまった。自分がこの星に来たばかりに、いたずらに悲劇を振りまいてしまった。
 ロビンに潰されたプラント数は数百に及び、各国政府に生み出された被験者は総合すると20000人を超える。対して、アウラが治療した人数は5000に満たない。
 目に見える数字として。アウラは自分の無力さを突きつけられてしまったのだった。

 ――そんな折。

 テレビで世界各地に報道されていた「仮面ライダー」の活躍が、彼女の耳に入った。

 シェードの怪人から人間の自由と平和を守るため、日夜悪と戦い続ける仮面の戦士。シェードと同じ改造人間でありながら、彼らの存在は大多数の民衆から英雄と讃えられている。
 改造人間の人権を脅かす連続殺人犯という見方もあるが、そう解釈しているのは日本の一部くらいのもので、世界各地で被験者問題に苦しむ人々は仮面ライダーを正義の味方として応援していた。

 その仮面ライダーの一人には、あの仮面ライダーAP――南雲サダトも含まれている。
 彼は自分が奪った命より、数多くの人々を救い続けていた。怪人を殺め、自分の手を汚してでも、より多くの人々の命を守り抜いていた。

 その姿に、アウラはただただ涙する。

 生身に戻る機会を捨ててでも、彼は自
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