第三章 エリュシオンの織姫
第1話 聖女の偽善
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出現して3ヶ月。
東京都奥多磨町の外れにある、シェードのアジトを発見した南雲サダトは、その地下深くの研究室で飛蝗型の怪人と遭遇する。
その怪人は、人肉を喰らい段階的に成長していく獰猛な肉食怪人だった。撃破に失敗したサダトを残し、アジトを脱出した怪人は東京に住む人々を襲い、破壊と殺戮、そして進化を繰り返す。
やがて体内に蓄えたエネルギーを熱線として吐き出し、次元に風穴を開けた怪人は異世界に逃亡。その後を追い、南雲サダトも異世界へと渡った。
そこで彼は、「深海棲艦」と呼ばれる侵略者と戦っていた戦乙女達「艦娘」と出会う。
試練を経て彼女達からの信頼を勝ち取った南雲サダトは、新たな相棒「アメノカガミノフネ」を獲得し、怪人こと「仮面ライダーアグレッサー」との決戦に臨んだ。
死闘の末にアグレッサーを撃破した彼は、艦娘達に別れを告げ元の世界へと旅立つ。彼の戦いは、まだ終わってはいない。
――そして、それからさらに月日が流れ。
壊滅状態のシェードは、ついにその最期を遂げようとしていた。
◆
――2016年12月2日。
フランス・ローヌ=アルプ。
国際刑事警察機構本部。
世界的な犯罪行為に抗するべく1923年に設立された治安の砦。その構成員達は、日本政府の手を離れて暴走するシェードのテロ行為にも目を向けている。
その非道を追う過程で彼らは、ある重要人物を保護していた。その存在が公になれば、全世界に激震が走るほどの、最重要機密を。
「……ではどうしても、その人物だけは人間に戻したいと」
「はい。……彼だけは、どうしても」
「そうですか……」
一見すると、窓からフランスの華やかな街並みを一望できるテラスだが。その周囲には無数の隠しカメラによる厳重な監視体制が敷かれている。
彼女――アウラ・アムール・エリュシオンもそれを知ってか、美しい景色を瞳に映しながらも表情は優れない。黒のボブカットを風に揺らす、碧い瞳を持つ絶世の美少女。
異星人、と言われれば信じてしまう。それほどの、地球人からは隔絶された絶対的な美貌を、後ろに立つインターポールの捜査官は神妙に見つめていた。
金色の髪と蒼い瞳。白い肌に、鍛え抜かれた長身の肉体。彫刻作品のように整えられた、天然の美形。
それら全てを兼ね備えた、アメリカ合衆国出身のインターポール捜査官――ロビン・アーヴィングは、本部から彼女の保護を任されている。齢28歳にして最重要機密を託されるほどの精鋭である彼は、アウラの言葉に深くため息をついていた。
青のライダースジャケットを羽織る彼は、彼女の隣に足を運ぶと諭すように語り掛ける。
「
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