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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
最終話 別れと幕開け
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の捜索とアグレッサーの事後処理に翻弄され、特に警視庁の機能は麻痺に近い状態となっていた。

「奴は外国を根城に、新たな組織の立ち上げを目論んでいる。全てに決着を付けたいのなら、すぐに奴を追うしかないぞ」
「……盟友であるはずの徳川清山を、あなたは見放すのか」
「確かに、俺と奴はシェードを創設する以前からの付き合いだ。……だがもはや奴には、この国を強くするというシェード本来の理念はない。今在るのは、目に見える『力』への妄執だけだ」

 白髪の男は、どこか哀れむような表情で夜空を仰ぐ。慌ただしい地上とは裏腹に、その空は静かに澄み渡っていた。

「組織の在るべき姿を見失った創始者など、後にも先にも害悪にしかならん」
「あなたは違う、と?」
「違う。俺は、シェードが潰えた先の未来を見ている」

 男は、青年とは目を合わせず。荒れ果てた街にも、大勢の人だかりにも、視線を向けず。ここではない、遠いどこかを見つめていた。

「織田大道も。ドゥルジも、博志も。果ては清山までも。目先の『力』に囚われる余り、我々が目指すべき『未来』を見失った。改造兵士の配備により『武力』を得た強き日本、という景色(ビジョン)を。……そして最後に残った俺も、先は長くない」
「……」
「だが、まだ諦めはせん。俺にはまだ、やるべきことがある」
「……No.0。あなたは、まだ戦いを続けるのか」

 怒りとも、哀れみともつかない青年の呟き。その言葉を拾う男は、切れ目の眼差しを彼に向ける。

「不服か。……だがどの道、お前に俺は殺せん。俺に戦い方を教わったお前ではな」
「……」
「No.5。どれほど小綺麗な理屈を並べ立てたところで、『勝てば官軍負ければ賊軍』だ。清山の改造技術が流出していなければ、俺達は今でも『官軍』だった。日本政府に生み出され、日本政府に捨てられた俺達はな」
「今さら、何をしたところで『賊軍』の汚名が晴れることはない。No.0、あなたもわかっているはずだ」
「わかっているとも。シェードはあくまで『賊軍』だ。それが覆ることはない。だが、賊軍でもこの国の行く先を導くことはできる」
「……この国の、行く先……」

 徳川清山の手で創り出された、この世界における最古の改造人間。「No.0」のコードネームを背負う、その白髪の男は踵を返し、青年に背を向け林の奥へ消えて行く。

 ――その影の、さらに向こう。大量の枝や葉で「偽装」された、巨大なもう一つの影が、彼を出迎えていた。
 その実態を、No.5と呼ばれる青年――吾郎はよく知っている。

 ティーガーI。通称、「タイガー戦車」。
 戦時中、ナチス・ドイツが率いる陸軍で運用されていた伝説的重戦車である。

 しかも、白と赤で塗装されたその車体は、ただの骨董品ではない。シェード
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