第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第18話 スクナヒコナ作戦
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で感じた比叡から、一瞬で血の気が失われた。
辛うじて、直立の姿勢のまま垂直に次元破断砲を撃ち続けていたアグレッサーが――突如、後方に倒れ込んだのである。
――否、倒れ込む寸前まで仰け反ったのだ。まるで、ブリッジでもするかのように。
そうなれば、口から放射し続けている次元破断砲の射線も変わってくる。天を切り刻むばかりだった熱線は、弧を描くように鎮守府の後方へと狙いを変えていく。
遥か沖の彼方まで、次元の亀裂が広がり始めていた。
――だが、アグレッサーの狙いは次元の傷を広げることではない。
自分を苦しめているサダトを、この一瞬で消し去ることが目的なのだ。
ブリッジのように真後ろへ仰け反ったアグレッサー。熱線を放っているその口は、自分の背後でアメノカガミノフネを走らせていたサダトの方へ向けられたのだ。
「なッ……南雲くぅぅうぅうんッ!」
比叡がそれに気づいた時には。彼女が叫んだ時には。
――何もかもが、終わっていた。
真後ろに狙いを変えた次元破断砲は、撃ち終わる寸前にアメノカガミノフネを破壊した。赤い車体から噴き上がる爆炎と、立ち上る黒煙が、その結末を物語っている。
……確かに作戦通りだ。
アグレッサーは「排泄」として次元破断砲を放つも空振りに終わり、鎮守府にも艦娘にも損害は出ていない。
しかし。
予期せぬアグレッサーの対応は、アメノカガミノフネの焼失という結果を齎したのだった。……中の人間がどうなっているかなど、考えるまでもない。
「いっ……いやぁぁぁああ!」
比叡の痛ましい悲鳴が、青空に轟いて行く。だが、返事はない。
南雲サダトの身はすでに、海中へと没しているのだから。
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