第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第18話 スクナヒコナ作戦
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には移れない。
しかも自分を引っ張っているのは、半永久的エネルギーの原子炉プルトニウム。発揮できる力に限りがあるアグレッサーでは、抗しきれないのだ。
斯くして、うつ伏せの発射体勢に移り、次元破断砲の「排泄」で包囲網を破ろうとしていたアグレッサーの狙いは、眼に突き刺された錨とそれを引っ張るアメノカガミノフネに積まれた原子炉プルトニウムの力により、破綻することとなったのである。
真後ろに引っ張られ続けているアグレッサーは、正面を向くことさえ出来ず空を仰ぎ続けている。喉元を過ぎた次元破断砲のエネルギーは……もはや、抑えられない。
「……来ます! 全員、衝撃に備えてッ!」
大口を開いたアグレッサーの顎の間から、蒼い光が溢れ出して行く。その閃光を目撃した赤城が、叫ぶ瞬間。
次元を裂いたあの光が、一条の閃光となって天へ伸びていく。
雲も、大気も、この世界の次元すらも、紙切れのように断ち切る絶対の破壊力。
どんな命も、未来も、希望も。一瞬にして、塵のように消し去ってしまう不条理の権化。それが、艦娘達がこの瞬間に目撃した、次元破断砲の威力であった。
(次元破断砲の斉射時間は15秒……! その間、南雲君がアグレッサーを抑え続けていてくれれば「排泄」は空振りに終わる!)
アグレッサーが次元破断砲を出し尽くし、力尽きたその瞬間。彼の者を討つには、その僅かな隙を狙うしかない。
だが、次元破断砲が万一にも鎮守府に向かえば致命傷は免れない。アグレッサーに次元破断砲を撃たせる上で、その一閃を空振りに終わらせる必要があった。
そのために提督が発案したのが、この作戦だったのだ。原子炉プルトニウムを兵器としてではなく足として使い、アグレッサーを屠る重要なファクターとして利用する。それが、スクナヒコナ作戦における提督の狙いだったのだ。
(あと10秒……!)
空に亀裂を刻み続ける、蒼い閃光。それを見上げながら、加賀も拳を握り締める。
たった10秒が、恐ろしく、永遠のように――永い。
(……8秒! とっととバテるネー!)
常に豪快な笑みを崩さなかった金剛も、この瞬間だけは冷や汗を頬に伝わせている。
(5秒! 早く過ぎなさいよっ!)
瑞鶴も、滝のように汗を滲ませながら弓を握る手を震わせる。
(……3秒。もう、もう終わるっ……!)
(まだ!? まだ尽きないの!?)
榛名と霧島も、緊迫の表情で閃光を凝視していた。
――そして。
(……1秒! 南雲君ッ!)
祈るように、比叡が目を伏せた瞬間。
亀裂が走るアグレッサーの複眼が、妖しい輝きを放った。
「え――」
次元破断砲の斉射が途切れる直前。生物的な本能に訴える、強烈な危機感。それを肌
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