第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第17話 核の手は借りない
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て見えていた。そんな互いを見つめ合う二人は、はにかむように笑っている。
「……南雲君のこと、ちゃんとわかろうとしてなかった時の私なら、あんな風には言い切れなかった。私も、怖かったから」
「比叡さん……」
「でも、今ならわかる。南雲君は、割戸神博士とは絶対に違う。みんなのために剣を取れる『仮面ライダー』だって、今ならわかるから」
「……」
その笑顔のまま。比叡は、機械仕掛けの手を取ると、白い両手で優しく包み込む。
彼女の掌から伝わる温もりが、冷たい改造人間のボディを通して、南雲サダトとしての心に染み付いて行った。
「だから……信じることだって出来るの。仮面ライダーは、私達は、負けないって」
「……ありがとう」
「もう。それは、アグレッサーに勝つまで取っておいて。私の、やり甲斐なんだから」
その温もりに導かれるように、自然と表情を綻ばせるサダト。比叡はその唇に指先を当てると、悪戯っぽい笑顔を浮かべてウィンクして見せた。
そんな彼女の姿に、サダトが微笑を浮かべる――瞬間。
「よーし。いいネーその調子ネー。後はそこからガバッと抱き締めて濃厚なキッシュ! ひと夏の甘く切ないアバンチュール!」
「は、はわ、はわわ、榛名は、だ、大丈夫です……」
「ふむ。南雲さんはかなりのスケコマシのようですね。あの笑顔で数々の女性を誑かしてきたものと推測されます」
物陰に隠れ、自分達をガン見している金剛型三姉妹。その顔触れが目に入った途端、サダトはなんとも言えない微妙な表情に一変した。
「おぉ……こ、これが男と女の夜戦かぁ……」
「も、もう帰りましょうよ川内姉さん……これ以上はいけません……」
「これは盛り上がってきた……! 那珂ちゃん、ちょ、ちょっとドキドキして来たよ……!」
「那珂ちゃんももうダメっ!」
しかも、出歯亀は彼女達だけではない。金剛達からさらに離れた位置から、川内型三姉妹が双眼鏡でこちらを観察している。
「いーなー……いーなー……」
「ぶつくさ言ってないで、もう行くぞ足柄。これ以上、無粋な真似はしてくれるな」
「ちくしょー! こうなったら自棄酒よ自棄酒!」
「お、おい待て! 明後日には作戦なんだぞ、全く……」
さらに夜道を歩いていた足柄も、一連の遣り取りを覗き見していたらしい。泣きながら酒場へ駆け出す彼女を、呆れながら那智が追い掛けている。
「は、はわわ、凄いのです……比叡さんも大胆なのです……!」
「こ、これがレディの逢引……!」
「もー……みんな帰るよー……明日も朝早いんだからぁ……」
「ハラショー……」
その上、駆逐艦四人娘も夜中であるにも拘らず、月夜に照らされた二人の姿を凝視している。雷だけは眠そうにしているが。
「あらあら、比叡さんも
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