第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第15話 結ばれる友情
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艤装を使い、金型には陸軍の『九五式小型乗用車』を使うようです。提督に随行していたあきつ丸さんがパイプになって下さいました」
「彼女にも礼を言わなくてはならないネ。……とにかく、急ぐデス。いつアグレッサーが動き出すかわからない以上、一日も早く万全な状態を整える必要がありマス」
「ええ、もちろんですお姉様。夕張さんも急ピッチで作業して下さっています。……この作戦の成否は、彼女に掛かっているでしょう」
資料を手にした金剛は、祈るように目を伏せる。霧島と榛名も、それに合わせるように俯いた。技術者ではない彼女に出来る事は、来たる日に向けて英気を養うだけ。
その前準備を担う夕張達の健闘を、祈るより他ないのだ。
◆
「……比叡さん」
「あっ……南雲、君……」
――その頃。
波止場の端に立ち尽くしていた比叡を見つけたサダトは、日の光を浴びる彼女と向かい合っていた。
「……」
「……その、聞いたよ。あの後、つきっきりで看病してくれてたって。ありが――」
「――ごめんなさいっ!」
互いに掛ける言葉を見つけられない中。なんとか先に切り出したサダトの言葉を遮り、比叡は声を張り上げる。
猛烈な勢いで頭を下げる彼女に、サダトは何事かと目を点にしていた。
「……? え、と……」
「ごめんなさいっ……! 私、ずっとあなたを疑ってた! あんなにボロボロになるまで戦ってる時も、この世界に流れ着いた時も、ずっと! お姉様や長門秘書艦が南雲君を受け入れている時も……!」
「……」
「私みたいな子達がいっぱいいたから、あんな無茶な試練をやることになって、そのせいでボロボロになって……だから、その……」
だが、その理由に辿り着くまでにそう時間は掛らなかった。彼女の苦悩を悟ったサダトはゆっくり歩み寄ると、その頭に優しく掌を乗せる。
「……知ってたさ」
「えっ……」
「君が俺を信じてないこと。信じられないから、悩んでること。全部知ってる。だから、礼が言いたかったんだ。それでも俺の、そばにいてくれてたことに」
「……」
やがて掌を下ろし、比叡と向き合うサダトは穏やかな笑みを浮かべる。そんな彼と眼差しを交わす比叡は、不安げな上目遣いで彼を見上げていた。
「だから――ありがとう。それだけが言いたかった」
「……」
その恐れを、拭うように。柔らかな微笑みを送り、サダトは踵を返す。もう言うべきことはない、と言外に語り。
比叡はその背中を、暫し見つめ――逡巡する。このまま、何も言えないままでいいのか……と。
「ね、ねぇ!」
答えは、否。
これ以上、彼の厚意に甘えたままでいることは、彼女の矜恃が許さなかった。
「……ん?」
「私の方こそ、その……ありがとう。こ
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