第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第14話 一航戦の試練
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ンから生き延びて行く彼の奮戦に、ギャラリーがさらに興奮していった。
『なんとここで南雲選手、剣を扇風機のように振り回して掃射をかわすという、まさかまさかのファインプレー! 果たして次は、どんなアクションを見せてくれるのかっ!』
霧島の昂りを他所に、波止場に立つ赤城と加賀は同時に目を細める。
そんな彼女を、サダトも静かに見据えていた。
「やはり、この程度では屈しませんか」
「だが、それがいつまで持つか。残り8分、ここからが正念場よ。――南雲サダト」
「……」
次の瞬間、二人は矢を同時に放ち――今度は九九艦爆と零戦が同時に襲い掛かってきた。サダトは剣を下ろすと回避行動に入り、爆煙の中に姿を消して行く。
――だが、これは悪手だった。
赤城と加賀は、航跡の波紋を辿ればいつでもサダトを見つけられる。が、サダトの方からは二人が見えないのだから。
そう、例え二人が新手を放っていたとしても。
「……よし、抜けたッ――!?」
その時は、彼が爆煙から飛び出た瞬間に訪れた。
先程の経験則から、すぐに機銃掃射が来ると踏んでいたサダトは剣を構えて上空を見上げる。……だが、零戦の編隊はおろか、一機も見えない。
足元で爆発が発生し、彼の体幹が大きくよろめいたのは、その直後だった。
「……、なッ……!?」
一体、どこから。その焦りから視線を惑わせる彼の視界に、零戦でも九九艦爆でもない機体の編隊が映り込む。
『これは上手いッ! 一航戦、爆撃からの機銃掃射と思わせてか〜ら〜の雷撃に切り替えたッ!』
「雷撃……!」
霧島の実況から拾った言葉が、サダトに新手の出現を悟らせた。
九七式艦上攻撃機。雷撃戦に特化したこの機体の編隊が、お留守になっていた彼の足元を襲っていたのだ。
上空からでも、水中からでも。攻撃を仕掛けられる場所もタイミングも思いのまま。
しかも、そのいずれもが強力な威力を秘めている。それが意味する攻撃手段の多様性に、サダトは息を飲んだ。
これが、一航戦なのか――と。
「……九七艦攻の雷撃をまともに受け、未だ健在……か。予想を遥かに超える自己防御能力ね」
「けれど、この世に不沈艦は存在しません。例え損害が軽微であれど、それが積み重なれば必ず綻びは生まれる。その時までに命を繋げられるかは、彼次第です」
一方。この攻撃からサダトの能力を推し量る二人は、攻撃の手を緩めないばかりか、さらに多数の艦載機を放とうとしていた。
試練というよりは、まるで――処刑のようだ。その容赦のなさに、比叡は目元に雫を溜め込んで行く。
「む、無茶苦茶です、こんな……! お姉様、やめさせてください! 一航戦の雷撃まで凌いだんです、もう十分じゃないですか!」
「比
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ