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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第11話 滲む不信
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のかも知れません。俺が最後に見たあの形態になるのも、時間の問題です」
「ふむ。……しかし情報が少な過ぎる上に、我々との戦力差も不明過ぎる。南雲殿の云う『通常兵器』では通じなかったと聞くが、我々の火力がそれに勝るか否か……」
「情報、になるかはわからないんですけど。こんな物ならあります」

 だが。巨大飛蝗と同郷である協力者を得たと言っても、何もかも知っているわけではない。彼自身、あの巨大飛蝗とは戦い始めて間も無いのだ。
 それでも、このまま打開策が見つからないのはまずい。迂闊に攻撃を仕掛けてあの蒼い光を打たれたら、この世界も恐らくただでは済まないからだ。

 そこでサダトは、懐から一冊のファイルを引き抜いて長門の前に差し出した。血が滲んでいる上、インクが掠れているせいで読める字も少ない。
 それでも何か、彼女達にとっては助けになる情報があるのではないか。そこに望みを託し、サダトはファイルを捲る長門を凝視する。

「これは設計図……だけではないな。『アグレッサー』に纏わる資料と言ったところか。ところどころ滲んではいるが……まぁ、これは誤差の範囲だ」
「……よ、読めるんですか……?」
「無論だ。暗号解読に比べれば遥かに容易い。榛名。大淀にこれを解析するよう伝えろ、最重要任務だ」
「はい」
「……」

 そして、長門はあっさりとそう言い切って見せた。榛名は彼女からファイルを受け取ると、艶やかな長髪を揺らして執務室から出て行く。
 さも当然のことのように事を進める彼女達の姿に、サダトは暫し立ち尽くすのだった。これが戦いという日常に生きる、本職の軍人の姿なのか――と。

「さて、南雲殿。貴殿にはこの件における重要参考人として、暫くの間はこの鎮守府に滞在して貰う。あの怪物の対処には貴殿の協力が必要になる。貴殿としても、放ってはおけない案件のようだしな」
「わかっています。そのために、来たのですから」
「うむ。だが、今日はもう遅い。貴殿も見知らぬ世界に流れ着いて疲れているだろう、そろそろ休んだ方がいい」

 そんな彼に、長門は利害関係の一致による協力関係を確認し――彼の表情から、その決意のほどを垣間見る。
 異世界から現れた協力者の殊勝な姿勢に彼女は深く頷き、目線で霧島に指示を送る。その眼で上官の意図を汲み取った彼女は、指先で眼鏡を直すとサダトの前に進み出た。

「……では、客室までご案内します。どうぞこちらへ」
「はい。では、俺はこれで」

 その厚意を汲み、サダトは霧島の後を追うように執務室を後にする。彼の背が見えなくなるまで見送った後、長門は深く息を吐いて背もたれに身を預けた。

「……お疲れ、長門」
「なに、大したことはない。……確かに常識を疑うような事象ばかりに疲れはしたが、こうして数多くの情報を得
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