第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第10話 艦娘と仮面ライダーのファーストコンタクト
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から引き返していった。そんな彼女の背を見送り、長門は神妙な面持ちで陸奥と顔を見合わせる。
「扇状に散開して、民間の海岸に接近……か。今までにないケースだな、例の巨大飛蝗の影響と見ていい」
「攻めてきたのではなく、逃げてきたのね……きっと。でも、これではっきりしたわ。あの巨大飛蝗は、まだここから離れていない」
陸奥の言葉に、長門は深く頷き。窓の向こうに広がる水平線を見つめる。
「……まさかとは思うが……いや、まさかな」
「どうしたの?」
「いや、何でもない。――提督に現状を報告する。もはや我々だけでは、手に余る案件だ」
そう呟く彼女のデスクには、提督が嗜んでいた一冊の本が立てかけられていた。
その表題には、「パラレルワールド 互いに干渉する異次元」と記されている。
(相互に影響し合う、複数の世界――か)
◆
――194X年8月25日。
某海域。
「海岸方面に逃げるなんてッ……今までにないパターンデスッ! 比叡、他のイ級とロ級はどうネッ!?」
「はい! 現在は榛名と霧島が追撃に出ており、この程度なら撃滅も時間の問題かと!」
「オーケー……とにかく、民間人に犠牲者が出ることだけは避けねばならないデース。比叡、私に続きなサーイ!」
「はい、お姉様!」
溌剌とした声を上げ、二人の美少女が茶髪を揺らして海上を疾走する。
長女「金剛」と次女「比叡」は、海岸方面に移動したイ級三体とロ級一体を追撃すべく、三女「榛名」と四女「霧島」に残りを任せて別行動に移っていた。
魚雷のような形状であるイ級とロ級には小さな足があるが、体長に対してあまりにも短く地上での歩行には不便であるとされている。よって上陸してもまともに動けず、民間の住宅地まで侵攻する可能性は薄いと言われてきた。
だが、それはあくまで「深海棲艦が陸に上がる場合を想定した場合」の「机上の空論」に過ぎない。そもそも今まで実際に陸に近づく気配がなかったこともあり、今となってはその信憑性も怪しくなってくる。
歩きにくい体型であり、地上の侵攻に向かない個体であることには違いない。それでも、這ってでも地上を侵攻し出すようであれば、対抗手段を持たない民間人はひとたまりもないのだ。
「お姉様、これはやはり……」
「……偶然にしては出来過ぎてるネ。私も同じ考えデス」
非常事態に次ぐ非常事態。金剛も比叡も、薄々ながら察している。
川内型三姉妹が発見した、巨大飛蝗との関連を。
――やがて。二人の視界に、徐々に目標の影が鮮明に映り込んでくる。
もはや海岸とは、目と鼻の先。避難警報が間に合わなかったのか、沖合いにいる金剛と比叡にまで、住民達の悲鳴が聞こえていた。
「見えましたネー……! 比叡、海岸との距離
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