第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第8話 蒼い光
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めに、警察や自衛隊の働きを疑問視する声に拍車が掛かってしまったのだ。
法的手続きの一切を要さない、無法と無秩序の中から生まれた「正義」の使者。
そんな、法治国家において認められない存在でありながら、決して無視できない実績によって覆し難い人望を獲得してしまった、政府にとっての目の上のタンコブ。
それが現代日本における、仮面ライダーであった。
「法的手続きを必要としない、正義の執行者……か」
彼らのような「力」を持つ者が、もっとたくさん居れば。あの力を量産し、警察や自衛隊に配備出来れば。より容易くシェードのテロを鎮圧し、人々を守ることが出来たかも知れない。
……自分も女だてらにパイロットなどやらずに済み、婚期だって逃さなかったかも知れない。
(強いんなら、責任……取ってよね……)
そんな途方もない展望を思い描きながら、「妙齢」の射撃手は満身創痍の仮面ライダーを見つめ、ため息をつく。
――すると。
「おい、ボサっとするな! 奴の様子がおかしいぞ……!」
「え……!?」
巨大飛蝗の行動に、異変が訪れる。
操縦士の声に反応して視線を戻した射撃手の目には、231便から目線を外してうずくまる、巨大飛蝗の姿が映されていた。
「あの体勢から231便に飛び掛かるつもりか……! 民間機231便に危害が及ぶ可能性がある! 射撃の可否を問うッ!」
『射撃待て! 現在本庁にて確認中である!』
「く……!」
何をするつもりなのかは全く読めないが、直前の動作からある程度の推測はできる。その中で最も可能性の高い「危険」を鑑みて、操縦士は上層部に射撃許可を訴えた。
だが、上層部はなかなか首を縦に振らない。射線上に231便が近いことから、万一の誤射を恐れてのことだろう。自分の相棒がそんなに信用ならないのか、と操縦士は内心で激昂していた。
「ちょっと……見て、あれ!」
「……!?」
しかし、その怒りさえ頭から吹き消してしまうほどの事態が、進行しつつあるようだった。
――巨大飛蝗の全身から蒸気が噴き出し、その巨体を霧で覆い隠してしまったのである。
「……ッ!?」
「な、何をするつもり……!?」
射撃許可を待ちながら数十分に渡り動向を観察してきたが、あのような挙動は見たことがない。
命令がないまま撃つことはできないが、今まで以上の異常事態が起きている以上、指を咥えて見ているわけにもいかない。
「231便に告ぐ! 現在、正体不明の巨大生物が不審な挙動を見せている! 直ちに現空域より退避されたし! 繰り返す! 現在、正体不明の巨大生物が――」
操縦士の勧告を受けるまでもなく、すでに231便は東京から離れるべく進路を大きく変えていた。だが、その速度はヘリ
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