第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第6話 進化する怪人
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いた。しかし、それを受け入れられるか否かは、全く別の問題である。
ある少女は、自分の運命に「なぜ」とひたすら、答えがあるはずもない問い掛けを繰り返し。ある少女は、本能が訴える恐怖に突き動かされるまま、両親を呼ぶ。
だが、助けは来ない。颯爽とこの場に現れ、怪人を蹴散らしてくれるヒーローの気配など、感じられない。
「み、んな……逃げよう、逃げるのよ!」
その時。両足を震わせ、涙目になり、絶望に打ちひしがれた表情のまま。四人組の一人が、辛うじて声を絞り出す。
このままでは、どちらにしろ死ぬ。ならば例え望みが薄くとも、生き延びる努力をしなくては。――そんな悲痛な決意を、表情に滲ませて。
茶色のボブヘアーを揺らし、懸命にそう訴える彼女は、リーダーを自称して三人を遊びに連れ出したことに責任を感じているのだ。自分が三人を誘わなければ、こんな目には遭わなかったかも知れない――と。
「で、でも!」
「だだ……い、じょう、ぶよ。わた、しが……いるじゃない」
「……」
絶望的な表情のまま、無理矢理「いつも」の笑顔を作ろうとする彼女。そんな痛ましい姿と真意に、三人の胸が痛む。
そんな少女達の苦しみなど、知ったことではない――と言わんばかりに、この災厄の元凶が近づき始めたのは、この直後だった。
「ぐるなら……ぎなざいっ! ゆびいっぼん、みんなにばっ! ぶれざぜないっ!」
それに気づいたボブヘアーの少女は、短い手足を目一杯広げ、怪人の前に立ちはだかる。
涙も鼻水も垂れ流したまま、恐怖に慄いた表情のまま。それでも身を呈して、三人の友達を守ろうとしていた。三人の位置からはその表情は伺えないが、彼女の胸中なら悲痛な叫び声だけで充分窺い知れる。
「ダメェ! 逃げんですっ! 逃げなきゃ、ダメ……なのですうぅっ!」
「一緒に逃げなきゃ、逃げなきゃ意味ないわよ! 一人前のレディーに、なるんじゃなかったの!?」
「……逃げ、て……!」
三人の少女達も必死に連れ戻そうとするが、ボブヘアーの少女は足に釘でも打たれたかのように動かない。その間も、怪人の影は少女の体を覆い尽くそうとしていた。
「だ、め……だめですっ……死んじゃ、ダメぇえぇえっ!」
そして、かけがえのない親友を失うことに何より絶望した少女の一人が、茶髪のアップヘアーを振り乱して絶叫する――その時だった。
「オゴォ……ァア……」
「えっ――!?」
突如、怪人はボブヘアーの少女に手が届く直前で……仰向けに転倒したのである。何か攻撃した覚えもなく、少女達は何事かと顔を見合わせた。
「え……なに? しん、だの?」
「わ、私達……生きてる」
「た、助かったの、です……?」
何が起きているのかも、理解できず。そ
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