第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第4話 異形の飛蝗
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男を追い、バイクを走らせた先に待ち受けていたのは……一軒の、木造造りの山小屋だった。
「……」
ここで途絶えている男の足音を見下ろし、サダトはバイクから降りるとヘルメットを脱ぎ、神妙な面持ちで山小屋に近づいていく。……敵の気配は、感じられない。
キィ、という音と共に扉を開いた先には、男のものらしき血痕が山小屋の隅に続いていた。そこには、地下へ通じているものと思しき梯子がある。
(ここが連中のアジトだったのか……よし)
無論、敵の拠点を見つけた以上、放っておくわけにはいかない。サダトは意を決したように口元を結び、梯子を降りていく。
(仮面ライダーG……吾郎さんは、海外に散らばったシェード残党を駆逐するため、ヨーロッパに向かっている。日本に残った仮面ライダーとして、俺がなんとかしなきゃ……)
仮面ライダーとしての先輩である男の背中は、果てしなく遠い。それでも人間を守る改造人間として、その責は果たさねばならない。
その一心で奥へと降りていく彼は……やがて、薄暗い研究室らしき場所へ辿り着いた。
「……!?」
――刹那。強烈な血の匂いに、サダトは思わず鼻を抑える。
さっきの男だけの血ではない。目を凝らして辺りを見渡してみると、部屋中が血塗れになっていた。
一見、水漏れのようにも見える滴りは、よく見ると天井に掛かった血痕によるものだということがわかる。
天井に血痕が残るほどの、激しい血飛沫がここで起きていた。目の前でピチャリ、ピチャリと滴る紅い雫が、その証となっている。
(な、んだ、ここは。一体、ここで何が……!?)
何かの資料らしき紙やディスクもあちこちに散乱している。激しい争いの跡が、これでもかというほど残されていた。
ここで内乱でも起きていたのだろうか。そう勘繰るサダトは、とにかく辺りを調べて見ようと踏み出し――足元に奇妙な感覚を覚える。まるで、何かを踏んだような。
「う……!」
見下ろした途端、思わず声を漏らしてしまう。彼が踏んでいたのは、血だるまになり息絶えた白衣の研究員であった。
体のあちこちが欠損しており、脇腹は曲線を描く歯型を残して食いちぎられている。まるで、鮫に食われたかのようだった。
(こんな傷跡、初めて見るぞ……。俺が今まで戦ってきた怪人達とは、明らかに違う)
それは、この三ヶ月近くに渡る戦いの日々の中では遭遇したことのない痕跡だった。それを一目見るだけで、これまでの常識が通じない相手であることは容易に想像できる。
未知の怪人による暴走。それに伴うアジトの壊滅。それが、サダトが導き出したこの状況への結論。
その得体の知れない怪人が、この広くもないアジトに今も潜んでいる。そう思う彼の頬を、冷や
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