第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第4話 異形の飛蝗
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、沈痛な面持ち。
公害の一つとして数えられ、今もなお歴史に色濃く記録されている、時代が生んだ人災とも云うべき病に纏わる写真だ。
(なんで、こんな写真が……)
正直、この資料に載っている怪人と関係があるようには見えない。だが、資料に貼られたこれらの写真は、どのページにも勝る存在感を放っている。
まるで、これこそが全てだと訴えるかのように。
――その時。
「……!?」
何かの「音」を、強化されたサダトの聴覚が感知した。無人であっても自然に発生する音とは――違う。
サダトはページを捲る手を止めて書類を懐に仕舞い、息を殺すように静止する。耳を澄まし、音の実態を探る。
(……これは……)
――咀嚼音。
何かを噛み潰す音。その答えに辿り着いたサダトは、息を飲むとワインボトルを手にして、音の発生源である奥の部屋へと踏み込んだ。
やはり、怪人がここにいる。
その確信を胸に、サダトは薄暗い研究室を静かに進み――扉を開ける。無機質な金属音と共に、開かれた先には。
「……!」
あの時の男が、無残に引きちぎられた姿で転がっていた。手足は食いちぎられ、骨は露出し、肉という肉が食い尽くされている。
――だが、有る程度予想はついている展開だ。
重要なのは、食っている怪人。
この惨劇を起こした張本人であろう、その仇敵を凝視し――サダトは、息を飲む。
黄緑色のボディを持ち、二本の触覚を伸ばした異形の怪人。その腕には、ひび割れた頭蓋骨が抱えられている。
「……お、まえは……!」
飛蝗の貌を持つ、その怪人は――瞳孔の開いた目を剥く男の首を咥えたまま、じっとこちらを見つめていた。
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