第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第3話 怪人との対決
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身待機音声だ。
その直後。彼はタクトを振る指揮者のように滑らかな動きで、左手の人差し指と中指で「a」の字を描くと――最後に、その指先を顔の正面に立てた。
「……変身ッ!」
次の瞬間。右手でレバーを倒すと、ベルトに装填されたワインボトルが赤く発光を始める。
その輝きが彼の全身を覆うと――そこには南雲サダトではない、異形の戦士が立っていた。
黒を基調とするボディに走る、真紅のエネルギーライン。金色に煌めく複眼は「a」の字に囲われ、赤い胸に刻まれた「p」のイニシャルが、燦々とした太陽の輝きを照り返している。
『AP! DIGESTIF IN THE DREAM!!』
そして高らかな電子音声が、変身シークエンスの完了を告げるのだった。
斯くして、仮面ライダーAPとして変身を遂げた南雲サダトは、フィロキセラ怪人と対峙することとなる。その右手にはすでに、胸の「p」の意匠から出現した一振りの剣が握られていた。
「p」の字を象った柄から伸びる白銀の刃か、陽射しを浴びて眩い輝きを放つ。
「――シャアァアアッ!」
「おおぉッ!」
その光を消し去らんと、フィロキセラ怪人の触手が唸る。だが、縦横無尽に振るわれる刃は、その猛攻を容易く凌いだ。
火花を散らし、切り落とされて行く触手。その部位から伝わる激痛にもがく怪人は、頭部からさらに図太い触手を放った。とてもではないが、一太刀で切り裂ける太さではない。
「はッ!」
「……ッ!?」
だが、それすらもサダトの想定内であった。彼は咄嗟に剣を投げ捨て、太い触手を両腕で掴む。
そして、そのまま大きく両腕を振り上げ――怪人を振り回してしまった。宙を舞う怪人の背中が、バーベキューの鉄網の上へ落下していく。
「ガァッ!」
石の上に叩きつけられる衝撃と、背中に伝わる高熱を同時に味わい、怪人は予期せぬダメージにのたうつ。そこへ、剣を拾い上げたサダトが踊りかかった。
「はッ! とぁッ! せあぁッ!」
「ギ、アァッ!」
無論、怪人も迎撃に入ろうとするが――怪人が立ち上がって構えるより、サダトが斬り込む方が遥かに速い。
身を起こしたばかりで無防備な怪人を、容赦無く何度も斬りつけていく。火花と血潮が飛び散り、フィロキセラの全身が血だるまになっていった。
やがて斬撃に吹き飛ばされた彼は、その身を川の浅瀬に墜とされる。激しい水飛沫が、戦いの激しさを物語っていた。
「グ、オ、オォッ……!」
かろうじて立ち上がりつつも、倒壊寸前の廃墟のように、ふらつきを見せるようになる怪人。その視界はすでに、失血とそれに伴う疲弊で混濁しているようだった。
「……とどめだ!」
だが、サダトはあくまで手を緩めず――ワインボトル
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